「 書評 」一覧

シベリア出征日記ー松尾勝造

最近はモノホン日本兵の従軍記にはまっている。と、こう書くとお客さんは大岡昇平を勧めてくるんだけど、ああいうのではなくて、もっと実際的な記録が読みたいのである。その点、この本は異常なまでに日本人的な神経質さ、カメラと日記帳を愛する記録したがりの国民性というやつを遺憾なく発揮した、世界に恥じぬ従軍記である。強くオススメしたい。
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なにか一言メッセージでも残して行ってください

静かなノモンハンー伊藤圭一

今年は読書強化年間だったが、これは今年度読んだあらゆる小説でぶっちぎりの1位をつけたいと思う。もちろん個人的な裁量ではあるが、これほど琴線に触れた作品はなかった。ちなみに2位は「生きている兵隊」。

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遮光ー中村文則

最近のマイブーム、中村文則氏の二作目にあたる小説だ。氏が24〜25歳の頃に書いた小説なのだという。2時間で読み終わった。野間文芸新人賞受賞作。

普通なら、人生で一番忙しい時期だ。
青年諸君は勝利か滅亡かの闘争に全存在をかけて挑まねばならない時期である。この戦いに敗れるか、逃げ散った者を、我々の理想社会は決して受け入れない。

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無題(酔っぱらいの独り言)

lenin

割とありがちなことだが、例えば去年の「マッドマックス」の新作や、今年の「シン・ゴジラ」のような映画を観て、つまんねえなあ、と思った時にどういうかといえば、大抵は周囲を見渡して、自分と同じ意見の人が割と多そうなら安心して本音を語るし、大絶賛以外に何の異論もない場合は、北朝鮮人みたいに「将軍様は偉大」としか言えない人も多いだろう。

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掏摸ー中村文則

これは、中村文則氏の2010年発表の長編だ。掏摸(すり)を主人公に据えた個性的な作品である。

デビュー作の「銃」も、拳銃を拾った大学生が銃に取り憑かれて狂っていく話であったが、この作者の作品は、ため息が出るような悲惨な下層社会を超リアルな筆致で描写しつつ、ほんのちょっとの非日常を混ぜ込むスタイルが多いらしい。


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銃 中村文則

表紙もタイトルも非常に地味な、、、一見売る気あるの?と訝ってしまうような文庫本である。

これは中村文則という作家さんのデビュー作で、新潮新人賞を受賞。筆者はその後も芥川賞をはじめ、数々の賞を受賞し、しかも海外での評価も高い。デビューからして24歳?ぐらい?だったか。いわゆる鬼才である。

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エンタメか純文学かファンタジーか②

別館でこんな話をしていたのだが、だんだん本気になってきたのでこっちで公開することにする。

エンタメか純文学かファンタジーか①

重い歴史的なテーマや戦争をエンタメとして描写した作品はあるのだろうか? そんなもんいくらでもあるわ! と言いたいところであるが、やはり映画やアニメやマンガに多いと思う。

「シンドラーのリスト」「ライフイズビューティフル」など、ホロコースト映画の多くは娯楽映画として作られている。もちろん単なる娯楽映画ではなく、強いメッセージ性のこもった(これを宣伝と呼ぶか否かはまた別の話である)作品が多くある。

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シュナの旅 思い出深い作品

嘘だろ? と思われるかもしれないが、おれは子供のころから「風の谷のナウシカ」が好きであった。特にナウシカのきゃわいさと巨神兵のド迫力に魂を抜かれた口である。だがクソのような田舎小学校にいた時、なんか知らないが「ナウシカが好き」とは言い難いものがあった。なんかそういうことを公言するといじめられる危険があったのである。アニメ好きやオタクは子供のころから粛清の対象で、無秩序な赤色テロルに晒される危険があったので、随分長いことナウシカがお気に入りということを隠していた。
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ティモシー・スナイダー

今日本屋で「ブラッドランド」のティモシー・スナイダーの新刊の邦訳が出ていて軽くレジ横でフェアなんかされてて驚いた。


「ブラックアース」。モノクロの表紙がいいカンジである。センスいいなあ、、、

「ブラッドランド」と同じような雰囲気の表紙で上下巻、でも上下で450ページぐらいで、わりとコンパクトな本なのに、上下で6000円以上したので頭にきてほぼ立ち読みで済ませた(笑)。
(下巻なんて3分の1ぐらい役者のあとがきと参考文献の羅列なのに3000円以上するんやで! えげつないのう! 商業主義者に大量テロルを行え!

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