「 書評 」一覧

戦争は女の顔をしていない(コミック版第3巻)【書評】



「戦争は女の顔をしていない」コミック版の記念すべき第1巻を購入して読んだあと、ちょっとした心の中のモヤモヤを書き殴ったら、頭に来たらしいお方に攻撃されて炎上してしまった。それは記憶に新しい。とはいえ、当時は炎上していたことにさえ気が付かず、誰かが「炎上してますよ」とタレこんでくれてようやく知ったのだが(今思うと炎上させたご本人が教えてくれたのかもしれない)、とにかくアニメ、声優、オタクなどその付近の文化を叩くと、1億倍ぐらいの規模の報復が高率であるため、俺も慎重になってしまった。彼らはネット社会では強者である。インターネット世界での効率的な暴力のふるいかたを熟知しているという面では現実社会での暴力執行機関(警察・軍隊・ヤクザ・自警団)に近い存在だろう。文字通り暴力で人々を黙らせる達人揃いだ。俺も今後は彼らを怒らせるような愚かな真似はせず、全ての表現を自粛したいと思います。

ただ、それに反し、あのレビュー記事はここの常連読者にはおおむね好評だったので、続刊が出たら購入していたが、第2巻はショージキ思い出すのも難儀な退屈な印象しか残っていない。なぜか読み直したいとも思わず本棚で埃をかぶっている。

そしてつい最近、第3巻を本屋で見つけた。ウクライナ侵攻がトピックスの今、東欧の近代史に関心が高まっている筈である。関係は無いと思うが奇しくもティモシー・スナイダー教授の「秘密の戦争――共産主義と東欧の20世紀」も邦訳され、4500円もしたのに一緒に買ってしまった。おかげで駐車場代は4時間もタダになった。ちょっと読んだ感触としては「赤い大公」に似た感じの内容であるが、まさしくロシアとウクライナとポーランド、バルト三国にまたがる戦間期の情報戦を詳述した本だ。今の時代を読み解くのに知っておくと格好いいかもしれない。そんじゃそこらのやる気では読破もできないと思うが。。

秘密の戦争についてはまだ全部読んでないので機を改めるが、今回のこの第3巻、傑作である。断言…圧倒的断言…!

☆有料記事について


ベルセルク

「ベルセルク」の作者三浦健太郎氏死去のニュースは大変ショッキングでした。個人的にはキム・ギドク死去と並ぶバッドニュース。もう「ベルセルク」の続きが読めないのかと思うと悲しさしかありません。

でもちょっと仕方ないかも。。と思う面もあります。この漫画、確か俺が小学生ぐらいからやってるんですよね。30年以上やってたんじゃない? 30年も経てば、人が死んでもおかしなことではないし、ある意味自然な流れともいえる。「ベルセルク」の欠点はストーリーが壮大過ぎたこと。広がりすぎた伏線を全く回収できそうにないのは誰の目にも明らかであった。まあ、だからこそこの漫画に皆が熱狂したのだと思いますが・・・

訃報を聞いて、「畜生、、、もうベルセルクを読むと辛い気持ちになるからもう二度と読まねえ、、、こんな面白くても未完だってんなら読んでも仕方ねえよ。だからもう読まない」なんて思った翌日にはもう1巻から読み直していました。 >>続きを読む


忍者武芸帳(影丸伝)【書評】

だいぶ前にカムイ伝の話をした気もするんですけど、男の子ってのは人生において恐竜と忍者と大ドイツにハマる時期が絶対どっかにあるもんなんすよ(真顔)。白戸三平さんの漫画はうちにもたくさん置いてあったので子供のころからよく読んでいました。「カムイ伝」はハードコアな作品で正直きつかったですが、「ワタリ」は小学生などにも大変読みやすいマンガで一番好きでした。「忍者武芸帳(影丸伝)」はカムイ伝のハードさもありつつ、「ワタリ」のヒーロー漫画的色彩も濃かったので、マニアぶりたいサブカル大学生などに勧めたい作品。

おなじみの階級闘争史観もありつつ、忍者漫画らしい真っ向勝負なバトル時代劇でもある。

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「向こうから勝手にこない」問題について

「カラダにイイ男」とかいうクソ漫画を最近ウェブ広告でよく目にするのですが、最近僕はもうクライミングしてなければ漫画を読んでるかゾディアックブレイブをやってるかのどっちかなんで、色々幅広く読んでおります。

手塚治虫のホラーぽいのばっかり集めた短編集を買ってみたり、聖闘士星矢をまた読み直したり、白戸三平の忍者漫画に胸をアツくしたりとか様々ではあるが、新しいものも好きなので最近の漫画もよく読んでいます。

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バルタザールの遍歴

佐藤亜紀のデビュー作で、氏はこれで日本ファンタジーノベル大賞を受賞した。
ストーリーはメルヒオールとバルタザールという二つの人格…というか魂が一つの肉体を操るというもの。彼らはオーストリアの名門貴族で、第一次大戦後から第二次大戦前夜に至る激動の時代をシニカルにユーモラスに乗り切る。
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赤い大公 ハプスブルク家と東欧の20世紀

とあるお客さんに「レビュー系の記事が全然ウけなくてやる気が起きないんすよ」と相談したら「レビュー系の記事はその作品を観て(読んで)ないとつい後回しにしてしまう」と言われてハッとした。

そう言われてみたらそうですよね、、、、おれもレビュー記事読むのって、その作品を観て色んな感情を想起して、他の人がどう感じたのか確認したい、、、、と感じた時に探して読むよなあ、、、しかも無意識に自分と似た感想を持つ人の記事を面白く読む。知らない映画や本のレビュー記事を読んで「おんもしろそう~~!!!」と感じることはほぼない(笑)。

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ミノタウロスー佐藤亜紀


最近知った佐藤亜紀氏の2007年発表の作品。ここ数年で一番度肝を抜かれた作品だ。すごすぎる内容。開いた口がふさがらないまま一週間弱で読了。こんなに熱中したのは久しぶりだった。

おれにとっては今後間違いなく最も重要な作品となるに相違ない。極めてよく書けた小説だ。書いた人間は正真正銘の天才。こういうことがおれもしたかった……こういうニッチな鬼才が存在するなんて知らなかった・・・改めて自分の見識のなさと情報源の乏しさに恥じ入るばかりである。 >>続きを読む


『騎士団長殺し』読了


いやはや、、、長かった~~~。。やっと読み終わりましたよ。どんだけ長いのよ、、、上下巻あわせて1040ページぐらい? 昔の文学作品みたくサクッと短くまとめてもらえないのかね~~と思ってしまったが、暇を持て余したこの一ヶ月、豊かな読書の時間を与えてくれた。そこにまず感謝申し上げたい。

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夜と霧の隅で

『夜と霧』というフレーズはいろんな意味を持っている。

一つはヴィクトール・E・フランクルのアウシュビッツの体験記。

一つはアラン・レネの映画。

一つはヒトラーが発した反体制派の粛清命令。

ヒトラーが好きだったワーグナーの引用であるこのフレーズ。いつしかナチの恐怖政治を象徴する言葉となって行った。その隅っこで行われたある出来事。この小説は北杜夫の1960年発表の小説で、芥川賞受賞作だ。

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