ライトハウス【映画評】

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今日は入れてたつもりの昼からの仕事が入ってなくて、休みに設定してるはずの木曜に仕事が入っていた。たまにこういうことがあって、ふっと時間ができたので映画を観た。場所は例によって神奈川県民最後の希望、「シネマジャックアンドベティ」である。

ず〜〜〜〜っと前から気になっておりながら、観る機会に恵まれなかった「返校 言葉が消えた日」であるが、ようやく観ることができた。この「ライトハウス」はそのついでに観た映画である。監督は「ウィッチ」のロバート・エガース。「ウィッチ」は隔絶された迷信深い時代と社会、異教の神が住まう不気味な欧州の森を描いた映画だった。

ウィッチ

「ライトハウス」は森から舞台は海へ。そもそも「lighthouse」は「灯台」という意味なので、普通にタイトルは「灯台」で良かったはずなんだが、相変わらず日本の配給会社のセンスはわかりませんな。

主人公はまさに森ばかりの場所で木こりとして働いていた青年で、高額の報酬に惹かれて灯台守の仕事へ応募。そこへは長期間に渡って隔絶された島で灯台守をするベテランの先輩トーマス(=ウィレム・デフォー)が。島に他に人は一人もいない。

仕事は異常に過酷な肉体労働で、トーマスに馬車馬のようにこきつかわれる青年。反感持ちつつも4週間の短期バイトなので、何とか耐え忍ぶ青年。しかし、うざったい海鳥を仕事中にぶっ殺してから文字通り風向きが変わる。嵐がやってきて帰還船は島に近寄れない。トーマスによれば海鳥は船乗りの霊が乗り移っている。殺すのは不吉なのだ。文字通り、島は嵐に囲まれ、海は荒れ果て、内地に帰ることができなくなってしまった。

嵐は続きやがて食料庫も浸水。なけなしの保存食が泥水に飲み込まれてえらいことになる。二人は酒だけを飲み、ヨタ話をくっちゃべって踊り狂い、現実を忘れようとするが、そのうちに仲違いして殺し合いを始める。

まあ、言ってしまえばよくある話である。途中、主人公の青年(ロバート・パティンソン)の行動と妄想と幻想が入り乱れて、時間軸なども曖昧になり、なんだかよくわかんない話となってしまう。リンチやクローネンバーグ、黒沢清などの幻想スリラーというジャンルがあるかどうかは知らないが)がお好きなら、まさにど真ん中な一本だ。「ウィッチ」も人間の狂気と悪魔の存在が混じり合って、人間の心の闇が怖いのか、悪魔が本当にいてそいつが元凶なのか、よくわからないように作ってあった。今回は船乗りの霊だの、青年が過去に殺した木こりの上司であったり、人魚(或いは人魚の妄想)などが随所に現れ、青年が狂気に蝕まれているのか、本当に悪くて不吉な何かがいるのかわからないように作ってある。

結局、映画を通して観ても今回はネタバレなども判然とせず、よく観ればわかるのかもしれないけど、英国周辺の船乗りの間で信じられていた迷信や、土着宗教、ギリシア神話などに精通してないとわからないんじゃないか。或いはそれらを知っていてもわからない映画かもしれない。はなからわからせようとしてない感じもあり、ネタバレなど特にないのかもしれない。とにかくこの禍々しく騒々しく、寂しく不気味な雰囲気を味わえればいい映画なのかもしれない。そういう雰囲気映画であるという点では大成功だったかもしれない。独特の真四角のモノクロフィルム、音響はとにかくレトロで、描かれている時代を思えば雰囲気がマッチしていてとにかくオシャレ。描き出されている映像は汚い屁こきジジイと、オナニーばっかしの薄汚い青年が酔っ払って怒鳴り合ってるだけなんだが笑。

このような、俳優の汚し方ってすごく日本の国で生きてると新鮮で、事務所圧力なのか何なのか、日本の俳優はとにかく汚れた役をやらないし、汚れた役でもキレイなお顔でメイクとかしちゃって、髪型もキレイに整えられていたりして、とにかくいつも雰囲気作りで大失敗をかましているよね(…と思う)。スコセッシの「沈黙」を観ていると感涙モノに日本の俳優が汚されている。素晴らしいと思った。

『沈黙』ー映画評

その点、今回のこれは、二人共えらく醜く汚く、どうしようもない役柄で、その俳優精神に一定の敬意を払うとともに、見所は結局不条理なストーリーというより、この俳優の演技なのかなあと思う。特にウィレム・デフォーとか、本当に変態で変人で偏屈で、孤独で卑しいどうにもならん汚い老人の役で、ラース・フォン・トリアーの映画のせいでいつも全裸でセックスしているイメージがあるんだが、今回はそのほうがまだマシかも?と思うぐらい、汚いジジイに仕上がっている笑。腹も出ているし、何一つカッコいいところがない、、、しかし、なぜなんだか、この映画はこのジジイを観てるだけで時間を忘れるという、、、なんとも不思議な映画に仕上がっている。別にオススメはしないが暇な人は観てください。

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