異端の鳥【映画評】

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なにやら「炎628」と比較されることが多い作品で、日本でも鳴り物入りで公開された。典型的なアート映画で、いわゆる娯楽映画ではない。全然面白い愉快な作品ではない。お勧めするかと訊かれたら「いや、特には・・・」と答える。

難点は、この映画の知名度の中途半端さゆえに公開されている映画館が限られていること、一日の中で上映される回数が極端に少ないこと、そしてこの映画の尺そのものがクソ長いことが挙げられる。そのため、時間に都合をつけてわざわざ普段行かない映画館に足を運び、たった一日一度のロードショーの為に近所のスタバで時間をつぶすという行為がとにかく難しかった。。こう見えてもワタクシは多忙な社会人である。ここまでするとなると「この映画にここまでする価値はあるのか?はたしてどうなのか?」と思案する時間のほうが長くなり、結局やめて壁登りに行っちまうんだ。この日はどうにか誘惑を振り切り、なんとか観てきた。思うに、駅前のレンタルショールームと接続して、大画面でオンラインで一人で好きな時間に映画を観れるシステムができるといいなあと思うんだが。多少割高でも構わないですよ、、

さて、内容だが、、

この映画にそっくりな映画がかつてあったと記憶している。確か狼少女なんとかって映画だ(←?)。たった一人で大戦中にヨーロッパを放浪する少女のお話だったと思う。たしかだが。

俺も過去に手抜き記事を献上している。

で、その映画は実話とされる原作小説をもとにしていて、小説は長らく実話とみなされていたが、作者本人が晩年になってようやく虚偽のフィクションだったと認めた。確かそんなエピソードがありました。今回のこの「異端の鳥」も、全く同じような小話がある。

原作はイェジー・コシンスキというポーランド系ユダヤ人の「ペインティッドバード」。わが国でも一応邦訳されていて読むことができる。作者の経歴から、この小説は長らく自伝的な小説と捉えられ、実話とみなされていた。それでいて作者はそれを特に否定しなかったそうである(そのほうが売れると踏んだのであろう)。そして後々になって、ようやくフィクションと認めた。作者はこれ以外でもけっこう虚言癖があったようで、色々なところで粉飾決算かましまくった挙句、人々から嫌われ疎まれ最終的には57歳で浴槽でビニール袋をかぶって自殺。

結局のところ、これはどんなにリアルに作っていようと虚偽の嘘話なわけである。だからこの映画を観て人間に絶望するような赤ちゃんのお尻のごときメンタルの人は特にいないと信じているが、モラルのタブーに積極果敢に切込み、むしろそれを見てほしい!人間って醜い!ほらほら!醜い!でしょ?!ほら!見てってよ!というサーカスのような楽しい映画と捉えるのが良い。そのほうがよほど健全で大人である(笑)。そういう意味では話的にも実にアゴタ・クリストフの「悪童日記」にも似ており、関連作として先に観るべきはこちらであろう。原作小説も映画も、こちらのほうが遥かに秀逸である。「炎628」と比べている人はたぶん色々とあまりよくわかっていないと思う(笑)。

悪童日記もワタクシの手抜き記事が過去に存在している(笑)。こんな映画ばかり観てきた人生です(笑)。(で、これも映画化不可能とされた問題作の映画化!というキャッチが踊っておりましたな、、、←遠い目で)

原作はめっちゃ読みやすいカジュアル小説なんで、小学生が冬休みにでも読むといいんじゃなかろうか。感想文は学校に出さないように(笑)。

悪童日記 小説

本題に入るが、今回も上記のごとく、田舎に疎開したユダヤの少年が、保護者たる大人から引き離されて放浪するお話だ。戦争、飢餓、革命、ホロコースト、容赦ない冬の嵐、現地民によるポグロム…子供が生き延びるなんて絶対無理である。言われるまでもなくフィクションであるとすぐ知れるのだが、死ねばそこで苦痛も喜びも終わりなわけで、この少年も早めに死ねれば嫌な思いもせずに済んだのであろう。実際は3日と生き残れないはずである。この映画は生きるからこそシンドいという状況を描いているわけだ。死ねば楽になれるんだが、生きるからこそ人生はツラいのである。だからこそ人生には生きる意味が必要なのである。意味もなくツラい思いばかり味わい続けたくねえからな。。

それはいいとして、東欧の村々の野蛮さをこれでもかとぶっこんだ映画でもある。異物としての少年を虐待し、迫害し、こき使い、レイプし、奴隷とし、利用しつくして利用価値がなくなればポイ!人間っていやだなあ、醜いなあと観客は心を痛めるわけなんだが、たまにいい人も出てくるわけなんだが(個人的にはドイツ空軍のショボい老年兵が好きである。最前線にこんなジジイがいたわけないのだが笑)。

またランドマークとしてしょっちゅう出てくるキーワードがキリスト教である。迷信深い人々は少年を吸血鬼だの災いを運んできただの、不吉だの、ユダヤの豚の異教徒野郎!と苛め抜くんだが、ここまでアンチキリストな映画は珍しい(笑)。特にカトリックも正教もどちらもクソ!って感じで区別をつけてない辺りも清々しく、おそらく原作者監督共に唯物論者なのではないかと邪推させる(笑)。(ポーランド人なので十分ありうる)

また、男の性欲の醜さ、どうしようもなさを描く作品は星の数ほどあるが、女の性欲に関してもけっこう切り込んでくる作品だ。途中少年は若くてぷりぷりな娘に拾われるが、そのうち性的虐待を受けるようになる。状況だけ見てると日本のエロ漫画そのまんまで面白いのだが、少年はおそらくアレがたたなかったのであろう。(びっくりしたのか?)女はそれに怒って冷たくなってゆき、あてつけに山羊とセックスしようとしたりとかするんだけど、これはなんなんだろうな?と一番難解だったんですが、ここで個人的な経験則に立ち返ってみる。

アレが立たなくなった男に対する女の冷たさは想像を絶するほどのものである。女はみーーーんな言うんだよ。「そんなことは大事じゃないの。大事なのは心なのよ」ってねえ。でも実際はちゃんと物理的に硬く勃起したアレが自分のアソコをほじくって子宮の入り口を一万回ぐらいノックしてくれることを望んでおり、それができなくなった時、ほんと冷たくなる。色々なことを言って単にアレが立たないというだけのことを「愛の喪失」であると結論付け、アマゾンで1700円の電動バイブを注文したり、もっと元気な種馬探しに既婚者合コンとかに出かけていくんだよな。まー僕もそんな女を何人も抱きましたけれども、一回疲れて中折れしただけでブロックされたこともありますし、想像以上に厳しいし冷たいし心なんか重視してないですよ女は笑。どんなに時間かけても1回じゃ全然満足してくれんし!こう考えると、女の性欲も男と形こそ違えど相当強い!そう確信するようになりました。この歳になってようやく。(とはいえ日本のエロ漫画のようなものは断じて違うのだが)

まーそんな感じで、女の貪欲さ醜さもしっかり描いているので男女平等な映画だと思います(笑)。あとは、ドイツ国防軍の制服を着たコサック騎兵が村を襲ったり、それを大戦後期で完全に機械化されたソ連軍が蹴散らしたりとか、戦争映画的な見どころも多いね(現地人の対独協力者は映画的にも珍しいシーンだと思います。無論これはウラソフの「ロシア解放軍」や「カミンスキー旅団」を引き合いに出すまでもなく史実であります)。無口な狙撃兵として登場するバリー・ペッパーとか、めちゃくちゃ渋いしね。(プライベートライアンのジャクソン二等兵です)

プライベートライアンでジャクソン二等兵を演じたバリー・ペッパー。今回も遺憾なく狙撃兵として登場。監督はたぶんプライベートライアンのファンなのでしょう(笑)。

この悲惨な時代で、労農赤軍がほぼ完ぺきな救済として描かれているのも本当に善も悪も度し難いなあと感動しました。この映画で最も高く評価したいのはここですな。確かに紛れもなく、最も膨大な血を流してヨーロッパを地獄から解放したのは赤軍ですからね。その後もうちょっとマシな地獄になっただけでしょと言われたら返す言葉もないすけど。

上記のごとくアングロ系俳優も出てくるし、ハーヴェイ・カイテルとかも出てきたりするんですけど、あくまで言語はなんだかよくわかんないスラブ語です。ロシア語じゃないし、内容的にポーランド語かと思ったがそれも違うようで、スラヴィック・エスペラント語という人工言語を用いている。特定の地方の特定のお話にはしたくなかったようで、これはあくまで普遍的なお話なのだと。だったら英語でいいじゃんとならなかったことにスタンディングオベーションを捧げたいですね。個人的に。(たしか「悪童日記」か「サウルの息子」も似たことしてたよね?)

そんなわけでまとまりもなく、どこにオチをつけてこの話を終わりにすればよいのかわからなくなったところで終わりにしたいと思います(笑)。映画自体もね。小話が連続するだけのまとまりのない映画なんすよ(笑)。いや~人間ってやっぱり醜いなあ!安心したよ!と満面の笑顔で爽やかな汗を拭い、明日からまた働きましょう!皆さんお疲れ様です!

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