ムーンボードについて

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もうこのブログはクライミング専用のブログにしてしまおうかとちょっと考えたりもしました。このブログは長年筆者たるワタクシがその時その時でハマってるものを熱く語る場所だからです。別にぶれてはいないのです。

こないだ「戦争は女の顔をしていない」のコミック版のレビュー書きましたが、やっぱり反響が大きかったです。俺のブログを読んでる人間がまだこんなにたくさんいたのかと。感慨深いとは思いましたが、正直前回の記事は完全に読者サービスで書きました。「はいはい、サービスサービス」とふてくされ顔で書いた捨て記事に過ぎません。俺にとっては実はどうだっていい内容なのです。こういうのが好きなんやろ?わかったよはいはい、たまには書いてやるよ、ほら嬉しいんだろ?って感じっす。(ごめんな)

だって新しいことは何も書いていませんからね。過去にどこかで書いた表現や文章をまるまるまた持ってきただけだったり、同じ思想を繰り返してみただけだったりとか。あんなもんを俺が喜んで書いてると思ってるんですかね。過去記事の使いまわしの手抜き記事にすぎませんよ。黒夢で例えれば親愛なるデスマスクをそのまんま演奏しただけって感じ?(わかるわけねえかこんな例え)

俺は新しいことが好きな人間なんだよね(真顔)。

まーそんなこんなで今ハマっているのは「ムーンボード」というボルダリングのトレーニングウォールなんすけど、これは世界共通の一定の規格で作られた壁なんですよね。アプリで課題を共有でき、ブルートゥースで使ってよいホールドをLEDで光らせることができるという、ハイテクなんだかクラシックなんだかよくわかんないものです。世界中のあちこちに設置されており、全世界共通の課題を登ることができ、自分が世界中のツヨツヨクライマーの中で一体どの辺に位置しているのか知ることができるわけです。

最も足のサポートを得られにくいとされる130度。 地獄のツライチ傾斜です。

といってもどこにでもあるわけではなく、東京都内でも5個あるかどうかです。地方は更に少ないでしょう。

なぜこれにハマっているかというと、クライミングをはじめた最初期、これは完全にただ見ているしかできなかった壁だからです。上級者しか使うのを許されない特権。それがムーンボードでした。最初はそれがなんなのかすらわからなかったのですが、とりあえず上の画像を見て頂ければわかりますが、クライミングの世界では最もブルータルといわれる130度傾斜です。んでついてるホールドの小さいこと!やってみようとすら思えない。これを登ってる人間をしばしば遠目で呆然と見ていたわけですが、どうやって登ってるのかすらわからない。とりあえずみんな辛そうに苦悶の表情で登っており、だいたい途中で跳ね返されてマット上に無様に転落。でも皆トレーニングをやめようとはしないのです。辛そうなのに何故か何度でも挑み、指が3本かかるかどうかという小さなホールドに指先をプルプルさせながらぶら下がり、刹那息を止めて次の一手を繰り出してゆくのです。(その際浮かび上がる鋼鉄のワイヤーのように筋が浮かび上がった前腕…その美しさにはいつも心を奪われます。この世にこれより美しいものがあるだろうか?)実に長い期間、この壁を登ることが憧れでした。

実は、ムーンボードは角度が緩くなった115度傾斜バージョンも存在しており、130度ツライチ傾斜に全く歯が立たないヨワヨワ中年男性のワタクシは、最初これに挑みましたが、V2課題ですら全く歯が立たない有様でした。V2というと、だいたい4級~5級ぐらいで、これが登れないなら初級者と言わざるを得ません。要するに雑魚(ToT)。

130度傾斜では離陸すらできない。スタートすら切れないのです。つまり、最初の一手すら届かずうわー!どしーんですよ(笑)。ダサっ(笑)。雑魚過ぎて自分が嫌になりました。

というわけでムーンボードはワタクシにとって強者のシンボル。強さの証となっていたのですが、やはりワタクシも男ですから強さを希求し、力を求めるのはもはや本能の領域です。諦めきれずに115度のムーンボードを頑張っていました。V2はスイスイ落とせるようになり、V3も5個ぐらいクリアできるようになったのでV4に挑んだらいくつかクリアできました。V4といえば日本の段級グレードにすれば2級~3級といったところ。もはや初級者ではありません。俺は強くなった。そんな自信がついてきました。

そこで130度ブルータルバージョンのムーンボードに挑むのですが、相変わらずV3課題ですら離陸できず敗退。「何という恐ろしい壁なのか…まさに恐怖そのもの」と俄か仕込みの自信は微塵に粉砕され、ただただ戦慄しておりました。(世界共通というキャッチーさに対し、ほとんどのクライマーは挑戦すらできない。よくこんな壁が世界中に流通したものだ…資本主義のことわりに真っ向から挑戦する壁といえます)

そしてしぶしぶ115度のV5課題に挑んでいたら指が破壊され、長い長い停滞期へと至ります。今年の春の出来事です。そう、115度のムーンボードですら、実際は恐ろしく手強い壁で、初級者が舐めてかかるなど許されない、恐ろしい壁だったのです。そのことに指を破壊されて初めて知ることになります。すべて遅かったのですが。

指が壊れている間も登りたいという欲求を抑えられずにいましたが、いよいよ本格的に壊れ、夜中に痛みで目が覚めるぐらいになってしまった。一か月の強制レストへと至ります。ワタクシの人生で最も暗く屈辱に塗れた時代です。

だがシコシコとできることをやっていたんですよ。それこそ地道にね。スラブ壁という80度~90度ぐらいのゆる~~い壁を頑張っていました。局所的に指や肩や腰に負担が強い強傾斜壁に対し、全身がバランスよく鍛えられ、故障を起こしにくい壁です。(しかし滑落した際の怪我の危険性は随一なのでやはり舐めてると殺られます。ワタクシはこの壁で右足首を4回捻挫しております)

スラブはやったら得意になっちゃってね。それでも上級者と呼ばれるには全然力不足なんですが、得意分野となってしまいました。スラブは極小スタンスやツルツルのハリボテに繊細に足を置けるかどうかにすべてかかっているので、指に負担は少ないです。それでも頻繁にゴミのような粒やクレジットカードぐらいの厚みの出っ張りに指をひっかけ、体を引き上げる必要性に駆られるので、厳しいと言えば厳しい。でも130度壁と比較はできそうにない。ましてやムーンボードとは全く異質なもの。まさに休憩中に鼻歌まじりに取り組む課題といったあんばいです。

ただし、滑落した際は確実にどこかに擦過傷を生じさせます。特に脛はやばいね。もう俺の脛はボロボロのズタボロ。ちょっと気持ち悪くて人に見せられないですね。人口壁によって研磨された傷は長く残ります。すね毛が生えててよかったと生まれて初めて思ったぐらいです。半ズボンで登るなど自殺行為なんだが、しばしばよくわかってない女子がハーパンで登ってますが、舐めてるのか?と真顔で説教したいですね。嫁入りに響くのでやめるべきです。

スラブの高難度課題を延々やっていたら、なぜか指も背も肩も足腰も強くなりました。なんでかはわからない…ただ強くなったのです。春に破壊された左薬指はまだ痛むんだが、テーピングを巻けば何とか最低限の仕事はするようになりました。そのタイミングで、またワタクシはムーンボードと戦おうと決心したのです。ソ連の少年兵捕虜にハーモニカを放り投げて「行け」と言った時のスタイナーのような心境です。死ぬ覚悟はとっくに決まっている。ただし犬死する気はない。心は闘志に満ち溢れていました。

離陸できたんだよなあ。その時の興奮は言葉では表せない。今までは腐海の底でメーヴェに乗っても「エンジンかからねえよ!」という感じに似ていたのだが、かかる!エンジンかかるぞ!これで飛べるぞ!という感じですよ。その日はあえなくゴール取りに行きつくこともなく敗退しましたが、次週再び挑んだら完登できました。最も易しいとされるV3課題です。

そこからはや一か月。僕の手はこんな感じになりました。


は、なにこれ?って感じだと思いますが、今握力を測定しても多分20キロぐらいじゃないの?明らかにオーバートレーニングです。やりすぎ。過去に指を壊して長い強制レストに入った教訓から、「ムンボは週1!これ絶対!」と決めていたのだが、異常なまでの中毒性で気が付いたら週3回は打っておりました。

ムンボでのトレーニングを再開して約1か月たったころ、体に異変が起きました。体重が増えているのです。僕は35歳以降はだいたい体重は60キロ程度で体脂肪率は15%前後といったところでしたが、115度ムーンボードをやりはじめたころ体重が増えました。どんなにがんばっても61キロを切ることがなくなったのです。体脂肪率は気が付いたら11%ぐらいになっていました。過去にオーダーしたシャツやスーツは全部肩回りがキツキツ。指が壊された後もスラブの高難度課題を数々撃破しましたが、それはそれで生易しいものではなかったです。文字通り命懸けです。「今滑落したらタダじゃすまない…」とタマがすくみあがる場面を何度も経験しました。それらの日々はムンボで鍛えた体を維持し、むしろもっと強くしましたが、130度ムンボのトレーニング効果は更にすごくて、今体重は62キロぐらいで、体脂肪率は10%ぐらいです。夏のバーゲンで買った流行りのビッグTシャツなんか着ようもんなら、まさに休日の柔道家、リングに入る前のプロレスラーみたいです。(脱いだらそうでもなくてだいたいの人は俺の体型を褒めてくれます)

要は筋肉が増えすぎたということなのですが、体重が増えるのはクライマーにとっては完全なるデメリットとなりますので複雑だが、筋量は間違いなく増えたので今後は有酸素運動を取り入れて体重を減らしたいですね。まだまだデブだと思うんで。皮下脂肪は全部シベリアに追放したいです。楢崎兄弟みたいな体型になるのは俺は無理だと思うんだが、平山ユージさんは俺とほぼ同じ身長体重だと思うので頑張りたいです。

日本でもっとも高名なクライマーです

というわけでムン活がすさまじいとわかって頂いたうえで更に言うのですが、ムン活はやっぱり超危険です。指がもうほとんど曲がらないんですよね。。テーピング巻かないと痛くて痛くて、、レジ袋ひっかけただけで「あ…イテッ」とか思っちゃうもん(笑)。

凄いのはわかったが、指は命。壊すとタダじゃすまないです。腱は痛めようもんなら数か月は治らないですし、クライマーという人種は数か月も登らないでいられる人なんてほとんどいませんので、つまり永遠に治りません。というわけで、壊さないようなトレーニング計画を立てるというところも含めてアスリートというのではないか?まだまだクソヨワのオッサンだが、V8とかV11とか登ってる若者にはもはやかなわないが、こないだ初めてV4が登れたりしたんで、せめて今年中にV5を完登したいと意欲を持っているので、ちゃんとレストも入れて確実に強くなりたい。この歳でも成長を感じられる分野なんかほかにあるだろうか?あるかもしれないが今生で探し当てることはもうできないだろう。もっともっと早く始めれば良かったのだが、今更悔やんでも仕方がない。人はそれぞれ手元にあるカードのみで頑張るしかないのです。そして各々の壁に挑んでいくのであります。それはまさに人生と同じではないでしょうか?

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