ナチスと麻薬

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やっと書き終わりました。
公認心理師試験を受けようと思い立つ1ヶ月前ぐらいから細々書きはじめたんだが、半年以上も経ってしまった。


ノーマン・オーランの「ヒトラーとドラッグ」が元ネタの大部分なんですけれども、一部「普通の人々」からネタを拝借し、アルコールと集団銃殺の親和性を付け加えさせて頂きました。

覚醒剤とアルコールいうとだいぶ違うと思うかもしれないが、独裁的な組織が人を外部からコントロールする為に使用する薬物、という意味では似たようなものだと思っています。

アルコール飲むと、ついつい普段抑え付けているあらゆる情欲が顔をもたげ、あまつさえ実行に移してしまうでしょう。

もちろん、酒は飲めば楽しい気持ちになりますし、恋愛においては推進力にもなりますが、飲み過ぎると犯罪に発展することも。ゆめゆめ酒は呑んでも呑まれるな、であります。

第三帝国が無敵かつプロフェッショナルな戦闘集団との通説は、軍オタ男子の心を捕まえて離さないわけですが、ノーマン・オーランははっきりとこれを否定します。

オーランの「ヒトラーとドラッグ」は歴史書にしては「豊かな想像力を働かせ過ぎ」と批判もあるが、アントニー・ヴィーバーは「衝撃的なスクープ」と絶賛。まさに賛否のわかれる評価だが、読めば第三帝国が、つうか1920年代からドイツでは麻薬がその辺のドラッグストアで処方箋もなしに余裕で買えたのだ、という事実を知ることになる。

強力なモルヒネ誘導体や、怪しげなアルカロイド、アンフェタミン、コカインまで。薬物の危険性に疎かった当時の人々は、まだそれら危険薬物の管理のありようを心得てなかったわけですな。

モルヒネは普仏戦争やアメリカ南北戦争で既に使用されており、注射針の開発は薬物による陶酔と直結しました。医学が発展すれほど、薬物で快楽に溺れるのも容易くなったわけです。

資源の少ないドイツは人工薬物を大量生産することになります。ワイマール共和国の頃から、ドイツには麻薬中毒者が山といました。

ちなみに、あらゆるヤクザ映画に登場するシャブ…覚醒剤はメタンフェタミンと呼ばれる物質で、日本の研究者が初めて合成に成功したものです。その論文をドイツの研究者が読み、また違った方法でメタンフェタミンを合成しました。それが覚醒剤ペルビチンです。

製薬会社はこれを大量に生産して売りさばき、国全体が覚醒剤で汚染されて行く。戦争においては疲れも知らず、眠くもならず、高い集中力とパフォーマンスを48時間は維持できる簡単に手に入る薬物、となると使わないわけがないわけでしょ。まだ、副作用に関しても知見に乏しかった。もちろん軍の上層部と製薬会社は知っていましたので、覚醒剤だということは内緒で兵士に配るんです。元気が出るぞ、眠気を取ってくれるいいブツだ、ってねえ。

こうして短い時間ではあるが、薬物で活性化され、激烈に作戦行動についた兵が起こした奇跡。これが電撃戦です。陸でも海でも空でも、人間のパフォーマンスを高める薬物は大歓迎される。ハンス・ルーデルだってシャブ中だったのかもしれない。ミヒャエル・ビットマンだって、その可能性はある。軍では当たり前のように配られ、医師の処方などなしに衛生兵の独断で手渡せたのですから。あり得ない話です。

末期でヤケクソになって呑んじまった、とかならまだ話はわかるが、戦争の最初の最初から、いやそれどころか戦争が始まる20年も前から、ドイツという国は薬物で汚染されていたのです。まさに衝撃のスクープ。

とはいえ、ヒトラーが主治医モレルのデタラメな注射で廃人同然にさせられただの、パーキンソン病という話も、薬の副作用で生じる錐体外路障害の可能性が高い。それは昔から言われてましたね。

また、ドイツの兵士たちが覚醒剤に類似した薬物を使ってた、って話も、けっこう軍オタの間では昔から言われてました。しかし、それを大きく問題視する人はいませんでした。何故かはわからないが、使うったって、たまに、ちょこっとやろ?と安易に想像してたのかもしれませんし、単に資料が少なくて深く考える余地がなかっただけかもしれません。ここまで大規模に深く長く強烈な薬を使ってたとは思いもしなかった。つまりそういうことでしょう。

「ヒトラーとドラッグ」の後半は、強制収容所における、薬物実験の話に移ります。なんと一番清廉潔白なイメージの強い海軍が主導するこの実験は、4昼夜眠ることなく深海でひっそりと息を潜め、敵戦艦が近づいてきたら魚雷を発射する。そういう想定下で使用される薬物を、海軍は望んだのです。

その無益な実験で失われる有望な若者たちの死。強制収容所でおもちゃにされる囚人たち。到達した結論は、ガムタイプの75mgのコカインで、これを噛めば1週間は眠れない。

糞尿と汗とガソリンの匂いで充満する鉄の棺の中で、1週間も眠らずに、薬物で陶酔させられ、結局袋に詰められ沈められた子猫のように溺れ死ぬ兵士たち。その哀れさ。しかもほとんどは15歳にもならぬ子供兵士たちです。なんの説明もないまま、鉄の棺に乗り込まされ、コカインを噛みながら死の恐怖さえあったかどうか…このような邪悪な体制が滅び去ったことは、人類のために本当に有益だったと思います。

もっとも、ナチスの薬物に関する知見は、アメリカによって引き継がれます。そして行われたのがCIAによる「MKウルトラ」計画です。
マインドコントロール…CがKになったのは、ドイツへのオマージュなんだそうです。

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薬物と戦争は今後も語られるテーマだと思います。アフリカの子供兵士の問題、イスラム原理主義も薬物を使います。人を従わせたい時、もっとも手っ取り早いのが薬物なんですね。

まあ、当然だけど彼氏が大麻や覚醒剤を勧めてきても断ってください。これらの薬物はセックスの快楽を100000000倍ぐらいに増幅させるんですね。カップルで片方がヤク中だと、もう片方もそうなってしまうのはそれが理由です。一度ならいいということはない。

脳は一撃で破壊され、二度と再生不可能です。帰ってこれません。小向美奈子みたいになりたくなけりゃ、薬を勧めてくる馬鹿男はタマを蹴り潰して警察へ。

クスリを使うのは人間をやめるのと同じです。
クスリを使って成し得た偉業など、つまらないものです。ドーピング剤を使用した金メダリストがあとで貶められるように。

ドーピング剤を使用して勝ち得た戦果など、くだらないものです。

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