DIR EN GREYー人間を被る……とAshのお話

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僕が多感な高校生だった頃、とにかくキていたのがバンドブームである。
今思えば単なるブームだったとは思うのだが、当時はとにかく流行ってましたね。色んなバンドの曲がアニメとかバラエティのテーマソングに使われてました。今思えば異常だったと思います。インディーズで活動してるようなバンドが翌年にはデビューし、そのデビュー曲がヒットチャートのランキングに入ってたりとか。名もなきバンドがランキングを席巻し、波のように引いては消えて行きました。バンドファンの面々にとってはちょっとしたお祭りのようでした。
だいたい20年ぐらい前の現実のお話です_| ̄|○

鳥肌実のネタみたいで鬱なんすけど、当時中二病ど真ん中の俺が懇意にしてたバンドは黒夢なんすよ。好きだったんだけど、このバンドには当時から本気でイラつかされました。かっこよかったのは化粧しておどろおどろしい歌を歌ってた頃で、インディーズ時代やデビュー当時の楽曲はなかなかに世界観形成という点では一本筋通っててヨかったのに、デビューしてほどなくしてギタリストが脱退したのを契機に、ペロッとヒットソングを量産するポップバンドに成り下がってしまったからです。(成り下がったという表現を使うのは間違ってるとわかってるんだが、俺もまだガキということだな)

で、それはそれでそのままやってくれればなかなか良い感じだったんですよ。ヒットを狙いつつももともと神経質な音作ってたバンドだけに、おどろおどろしさの残渣みたいなもんが残ってたからね。世界観はまだ生きていた。問題はその後、ペロッとモッズに影響されたらしくやっすいパンク風のJ-POPをやりだしたんすよ。これが良くなかった。どこをどう聞いても元々のナイーブで閉鎖的な世界観は鳴りを潜め、急にゲイが男らしさを気取りだした如くとでも言いましょうかとにかくクソのような音楽になってしまったのです。

田舎の高校生だった俺は死ぬほど落胆しつつも、教祖様に過去の面影が残ってやしないかとアルバムをそれこそ擦り切れるほど聞きました。新譜を出すたびに「原点回帰」という言葉が聞かれやしないかと期待しましたが見事に期待は裏切られます。全く大グソの塊です。でも過去の作品、主に脱退したギタリストが作った曲を涙を飲みながら聞いたり、ライブに行けば初期の名曲がクソパンクアレンジとはいえ演奏されたりだとか、「親愛なるデスマスク」をたまにやってくれたりだとか「この男はダメ……死ぬまでギャンブルと女遊びを繰り返し、優柔不断で甲斐性なんか死んでも望めない……でも!でも!」ダメ男に洗脳されて遊ばれてるのに別れられない女の如くとでもいいましょうか。見切りをつけられずファンを自称していたのです。今思えば情けない話だし完全なる黒歴史ですよ。

とはいえ、当時、シーンではラルクとかLUNA SEAのほうが黒夢より人気がありまして、CDもいっぱい売れてました。が、断言するが当時のバンド野郎が熱狂し、手本にしていたのは黒夢なんすよ。黒夢をパクってるバンドはかなりいました。教祖の如く崇められていました。世界観形成という点では群を抜いた完成度を誇ってましたし、金や権威にそっぽを向く姿勢がとにかくクールだったからです。(で、たぶんフロントマンの清春氏はパクられるのがうざかったんだと思います)

そういうわけで俺は初期黒夢のような、それに似たことしてるバンドを死ぬほど探しましたよ。そういうバンドは山ほどありました。で、実力のあるバンドはどんどんデビューし、そのたびに俺はある程度喜びはしたが、一抹の不安を常に持っていたわけだ。「よもや黒夢のようにデビューした途端ヘタレやしないか」と。メジャーの洗礼を浴び、それまでのおどろおどろしく暴力的でフェティッシュな世界観を一新し、「君を〜♫探すぅ〜からぁ〜♫」なんて感じで餌投げられた犬っころみてえにクソ歌を歌い出すバンドは数多く、俺はその度に舌打ちし、落胆し、とにかくがっかりしていた。本気でがっかりしていた。ブルータスお前もか……なんて歴史的な名言を覚えたのもその頃だ。で、俺は当時それがなんでなのかということを割と真剣に考えていたわけだが幼い脳に思いつく理由なんて「金やろ?金なんやろ?金が欲しくてファンを裏切ってやっすいクソソングをチャートに引っ掛けようと努力してるんやろ?」しかないわけだ。実際今2秒ぐらい考えてみたけど、もうどうでもいいと思ってしまうのでこの問題については議論するつもりもないが、俺が拝金主義というものに嫌悪を持ったのはそれが原因です。この拝金主義に対する敵愾心は呪いとなって社会に出る頃の俺を死ぬほど追い込むことになるがまたそれはいつもの貧乏話になってしまうので過去ログでも漁って欲しい。

で、やっと本題で、もう長々語ったんで省略するがDIR EN GREYは黒夢そっくりなことをしててメジャーに行ってもヘタレなかった唯一のバンドだったんすよ。はっきり言って、このバンドが出てきた頃はバンドブームは終わりつつありました。ブームが去れば付け焼き刃でクソ歌を作ってたバンド達もそのカマくさい容貌からピエロのような扱いを受け、一斉に世間は彼らに対する迫害を開始します。迫害はビジュアル系を好むファン達にさえ及び、イタい、とかキモいとか変な奴とか、頭おかしいとか、散々な言われようであった。今もたぶんそうだ。「こんにち、アルメニア人の大虐殺を覚えているものがいるだろうか」とのヒトラーの言葉がなんとなく思い出される。⇦?

そんな化粧系(死語)への迫害にも関わらず、ディルアングレイは妙に意固地と言いましょうか、アルバムを出すたびに不気味な世界観を深化させて行きました。まさに黒夢ファンがかつて黒夢に期待したアレコレを代わりにやってくれたといいましょうか。特に方向性を変えることもなく気持ち悪い歌を作り続けてくれたのです。心に染み入ります。

まあ、そんなディルアングレイもコーンやスリップノット隆盛のアメリカンモダンへヴィネスの界隈に影響を受け、方向性を微妙に変えてゆくのだが、過去のファンを裏切るような大変革ではなく、うまーく自分らしさに流行を取り入れた感じで、クソ黒夢がやってた偽物パンクより遥かにセンスが良いのでいまやワタクシはこちらのスタイルのほうが断然お好みでして何一つ文句はない。

高校生の頃、ディルアングレイの不気味なビデオを毎晩の如く家族が寝静まった頃に観ていたんですが、(あまりにこそこそ観ていたので家族はきっと俺がAV観ながらオナニーしてると勘違いしたことだろう……)そのビデオの最初の曲に「Ash」という曲があり、中二病ど真ん中だった俺はこれが死ぬほど好きだったんすよ。この曲はCD化されてなかったんでそれこそテレビのない自分の部屋では聞くことができず、リビングに侵入してビデオで観るしかなかったわけだ。それがこのほどYOUTUBEでアップされていることを知り、見ていたら懐かしさ爆発で通勤電車の中で爆涙していたのですが、こないだの4月に出たシングル「人間を被る」のカップリング曲にこの「Ash」が現代風にアレンジされて収録されているのを知り(つうか、それは昨日のことである)、更に感涙の雨であった。

旧「Ash」

2018「Ash」

(ちなみにこの曲はメジャーデビューした頃にも一度アレンジされているが、それはあまりグッとこなかった)

聞いてみると、これがなかなかヨいわけですよ、、、過去を見限り、下手くそなパンクを作って偽物の反逆を演じて金を稼いでたクソバンドとは異なり、とっくに流行終わってるし日本でアメリカンへヴィネスが流行ったことなんかデスノートアニメでやってた頃ぐらいしかないのに、結成21年でまだこんなスタイルでがんばってて過去の曲も捨てずにアレンジしてまた使って日本でも海外でもそこそこウけている愛すべき日本のバンドである。今でも「俺ディルアングレイが好きなんだが(^O^)」などと公言すると親衛隊にゲットーに投げ込まれるリスクがあるわけなのだが、「ライブ行きて〜!!」と強く思うバンドでもある。もうお歳だし、ライブ行っとかないと損するな、、、おじちゃんが一人で潜入するのはかなり勇気がいるが、今年こそ行ってみるか!


旧日本軍の軍服でコスプレする京氏。
(ちなみに上の動画でもメンバーがナチスのコスプレしている姿が確認できるが、当時は誰も何も言わなかったんだが、海外でそれなりに認知され出すとこの動画が「ナチス礼賛!」と批判を浴びたり逆に「クールね」と言われたり反応は様々の模様)