カナザワ映画祭ルポ IN横浜 シネマノヴェチェント

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いやはや、カナザワ映画祭も3度目となりますので、おれも結構な常連になったものである。。この日は「くろんぼ遊撃隊」という映画と、「ウォータパワー」というポルノ映画を見たらサクッとトークショーへ移り、夜は懇親会という流れ。月曜から40度の高熱で木曜からやっとふらふらと仕事に復帰したおれはおなじみの喘息に悩まされつつ車で会場へ。ひどい咳でまともに会話もできないんでこれは人に心配かけるし懇親会はパスだな、酒もどうせ飲めないな、と移動手段は車をチョイス。

つうかこうやって車で来れるというのが隔世の感がありますな。。。

それにしても「シネマノヴェチェント」って初めて聞いた映画館だ。。そんな映画館あったのか。。調べてみると横浜駅から京急でたった一つ隣の駅なんだが、名前すら聞いたことなかった。。おれは「シネマ ジャックアンドベティ」にはよく行くのだが、これも立地は超悪いが昔からお世話になっている。いったいどんなところなんだ。駅からけっこう歩くのも車をチョイスした理由の一つでしたね。

うわあ、、、、なんだこのシャッター街。。おれの故郷の町みてえだ、、信じられないほど活気がない。こんなところで商売になるのか…??

映画館の中はこんな感じ。超狭い(笑)。

いたたまれなくなり近所のレトロなカフェへ。当然分煙なし。ここだけ時代に取り残されたみたいだな。。。不思議と落ち着くが。

カナザワ映画祭は映画マニアの極北が集まるアングラかつアナーキーな映画祭。セレクトされる映画はあらゆる年代やジャンルを超えてとにかくパンクで尖った映画ばかりだ。超絶平等でコスモポリタン。これまでにも「炎628」や「フルメタルジャケット」「ブラックホークダウン」「プライベートライアン」「Uボート」などなど、なかったことにされがちで、スポットの当たりにくい戦争映画にも日の目を見せてくれた。「戦争のはらわた」ドイツ語吹き替え版に独自に日本語字幕をつけるなど、手法は常に挑戦的で斬新。一介のオタクが「あーーーこういうことやってくれればええのになんでやんねえんかなああ、おれにやらせろ!」と思うようなことをとりあえず本当にやってブッ込んでくれる。こういう手合いは今や少ない。

カナザワ映画祭のカルト性は代表の小野寺郁也氏のカリスマ性に依るところも大きいだろう。逆のイメージが先行している気がするが、一度見てみればなんとなく理解が得られるはずです。会ってみるとわかるが、見た目からして異常に迫力のある人物だ。とりあえず背が高いし確か40過ぎだと思うが非常にお洒落でイケメン。話しぶりも極めて知的。加えて笑顔もチャーミングである。たいそう女にモテると思われるが、あんまりそういうのに興味さなそうなところも良い。

むしろ映画のセレクションを見てるとカナザワ映画祭は中年男性オタクの祭典みたいなところありますね。
本日も客席を見渡しても何一つ胸躍らない感じである。。大部分はおひとり様のメンズばかりである(笑)。女性は数人だったと思われる。そんな中ブッ込まれる「ウォーターパワー」には圧倒されましたね。普通に洋ピンポルノなんで(笑)。でも「タクシードライバー」的な話でもあるんだけど。くだらなすぎて最後は失笑しましたが、総合的に見ても相当くだらない映画だったと思います(笑)。みんなで観てくだらなさに大笑いする、、、そういう用途の映画でしょう。

くろんぼ遊撃隊はゆる〜い平日の昼間やってそうな映画でした。タイトルは物議を醸しましたが、内容は実にしょぼくれてます。同じようなテーマなら「ミシシッピーバーニング」や「デトロイト」など、真面目な社会派くろんぼ映画が山ほどあると思うけど、この映画は実にゆるく、失笑してしまうような弛緩性がいかにもカナザワ映画祭という感じでこれはこれでこういうもんなんだろうと思いました。

さて、一番楽しみにしてた、作家の平山夢明氏と代表の小野寺郁也氏の対談です。噂には聞いてましたが平山夢明氏のトーク力は凄いものがありますね。ウォーターパワー後で疲れ切った観客席をドッカンドッカンさせてましたから。

トーク内容は幅広く、特に興味を惹かれたのは過去の映画産業と現在のシネコン体制との比較。「昔の映画館はちょっと悪いところだったんだよ」と語る平山氏。「カナザワ映画祭はその悪所としての映画文化を復活させようとしてくれてる」。

カナザワ映画祭は予算と採算的にはかなりギリギリのところで踏ん張っているそうなんだが、去年から精力的に全国展開をしている。選ばれる映画館はニッチな地方都市の名のある古い映画館ばかり。おれもキャラメルポップコーンと当たり障りのない映画ばかり流すシネコンで映画を観るしかない状況は山ほどあるが、昔のキタキュウには古い映画館がけっこう残っていて、いかがわしいポルノ映画やなんだかよくわかんない古い昭和の映画が流れていたものだ。「スターウォーズエピソードワン」も「ジュラシックパーク」も「もののけ姫」もキタキュウの入れ替え制というゴミ制度のない古い映画館で観たものだが、あの頃は好きな映画を2度続けて観たってまったく怒られなかった。というかリーガル……合法だったのだ。今は全席指定席だわ、いちいち追い出されるわシアタールームまでやたら歩かされるわ、入場までやたら待たされるわで、ルールが多すぎてなにがなんだかよくわからない。別に悪くはないが、古い体制は古い体制でそのまま生き残っててもいいはずなのに、アマゾンが町の小さな本屋をホロコーストしたように、ブログやSNSが手作り個人サイトを絶滅させたように、シネコンも古い映画館を消し去ろうとしている。時代かもしれんが悲しいことだ。

今もまあ、欧州や韓国の誰も観ない映画を1、2週間おきに流すいわゆるミニシアターはけっこう存在してるが、どう考えても落ち着いて映画に浸れるのはこちらである。客は年寄りばかりで活気はないが、静かで皆さんマナーも良いのでこの辺も是非生き残って欲しい。悪くてエロい映画ばかり流して地元の悪ガキや年配ヤクザばかり来るような映画館はいまやほとんどないが、カナザワ映画館が何かしらやってくれるだろうと今後も期待しております。また秋に横浜に来てくれるとのことです。代表、次こそ飲み行きましょう!