食い物とイケメンと愛国

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まあ、美女崇拝少女崇拝は昔からだとして、最近のテレビは音楽番組やニッチな企画モノが数を減らし、とにかく食い物とイケメンと愛国が幅を利かせている。


全てに共通するのは、努力不要で気持ちよくなれる娯楽ということだろう。

愛国はただ日本人であるだけでいい。白人様に日本人や日本の文化や日本のテクノロジーや日本のサブカル(アニメしかないが)を褒めさせるだけで良い。台本通りに褒めそやしてくれる白色人種であるならば、まったく問題なく誰でも良い。アメリカのタレントを雇う手間さえかけない。その辺の一般人を連れてきてカメラの前で喋らせるだけ。原価ゼロの水道水のような娯楽。多少の塩素臭さを我慢するだけで良い。簡単すぎる。安易すぎて言葉もないが、資本主義社会は金が神であるから、安い原価で高収益が叩き出せるならばなんでも崇めるのは事の理。

食い物は誰だって食うものだし、美味しいものを食べたい、との欲は誰でも持っても良い欲望として今や市民権を得た。何しろこの世の中、どんどんダメな娯楽が増えて行く。煙草はダメだ。ギャンブルももちろんダメだ。不倫は最悪の犯罪。かといって自由恋愛もけしからんし、物欲や収集欲にふけるのも今や悪。スマホばかり見てるとスマホ依存症外来への道が開かれているし、アプリに課金するのもギャンブル依存症と同罪の悪業。漫画やアニメは小児性愛という唾棄すべし犯罪への前段階として、忌み嫌われるべきものとして市民権を得た。←この辺は全部オタクどもの自業自得

認められる娯楽はスポーツと食い物だけ。
そんなわけでオリンピックのせいなのか愛国と、スポーツに汗を流すイケメンや美女アスリートに熱中せねばならない空気の中、唯一ババアやジジイでもガキでも不良中年でもエロい人妻でも誰でも持って良い欲として、食欲のみが許容される暗黒時代が到来した。

テレビつければとにかく飯、食い物、デザート、美味しいお酒、ニッチな大衆食堂、新鮮な魚介類、特別に手間暇かけて作られた野菜や果物、工夫して作られて案外美味しい缶詰…挙げきれないほどだ。食い物に関するコンテンツは山ほどある。

世界最悪水準の食料自給率しかない皇国日本で(なんと北朝鮮を遥かに下回る)、こうも国全体で餓鬼道スパイラルに陥るのは必然なのか不可解なのか。さっぱりわからないが気がついたらあれを食えこれを飲めそれをお土産に買って帰って写真に撮ってインスタに上げろとの命令ばかり。溢れまくっとる。大洪水だ。恐ろしく文化は荒廃した。全部戦争に負けたからだろう。←一応言っとくがジョークだよ

あと、あらゆるコンテンツに縫い込まれるようにして顔を出すのがイケメンと健康だ。食い物の話は必然健康の話題と結びつく。誤嚥性肺炎を起こしにくい飲み物。脳梗塞やガンや心臓疾患を防ぐ食べ物、飲み物、生活習慣、若々しさを保つちょっとした工夫(←大抵何かを食うだけ)。

シェフがイケメンなら印象も良い。バーテンがイケメンなら酒も許される。イケメンオーナーはどんな女でも憧れる存在だ。つうか、その辺のバイトの兄ちゃんでも軽くイケメンならすぐにフィーチャーされて宣伝に利用される。イケメンという言葉の敷居は大幅に下がった。男は多少ブサイクでも料理ができたりスポーツマンだったり何かに必死で打ち込んでさえいれば簡単にイケメンと呼ばれ、女達の寵愛を受けられる。皮肉にもテレビの中では宣伝に利用されるだけの存在だが…

あのかっちょいいアスリートがいつも食べるお袋の味、あの天才棋士が対局前に必ず食べるカツ丼、カーリング娘が休憩中に食う苺やお菓子、とにかくイケメンと食い物イケメンと食い物イケメンと食い物イケメンと食い物だ。参ったよ。そんな荒廃した文化の中で仕事をし、金を稼ぎ、時には女を口説いたりもするが、いい加減にあまりに単純だ、と思う。なんて単純な世の中だろう。頭もみんな悪くなってると思う。こうまで単純だと先行きにも希望は持てない。

思うに東京オリンピック開催決定の報から、タダでさえ日本の知能の低い感じは悪化が進んだと思う。馬鹿どもはイケメンと食い物と健康にばかり気を配り、愛国愛国で自尊心を満たし、金持ちはせこせこ投機を繰り返し、現物資産を買いあさり、不動産を買って豪邸に住まい、稼いだ金でかっちょいいスーツを買って馬鹿な女に適当に酒飲ませて甘いもの食わせてホテルに連れ込む。

悪いのは、この世の中がおかしいしダサいとわかってるのだが、結局自分もその流れに身を委ねて他と同じように振る舞ったほうが楽に生きられるし美味いもの食えるし女にもモテるという残念な現実に抗えないことだ。結局前に倣えで皆と同じように振る舞ったほうが楽に生きられるし、パンク魂なんか大事に持ったところで苦労ばかりして女にも相手にされず、惨めに孤独に生きるのを余儀なくされる訳だ。

最悪なんだが目に見えぬ何かに従えば上手いこと楽に生きられるという訳。もちろん人生の大半を仕事に捧げるとの契約下でのこと。仕事で疲れ果てて家に帰り、食い物と愛国とイケメンを見せられ、「え?なに?休みの日にはこれ食いに行かなきゃなんねえの?」と思うんだが、結局出かけても他に行く場所もないから、テレビでやってたチョコレート屋に女連れてってしまうんだ。で、昔は反抗心があったが最近は抗う意味が全然見出せず、そのまんま流れに身を委ねてるのが楽に思えるんで複雑だ。苦痛はないが何かおかしい。そういえば気がついたら俺もいつも食について考えている。なんなのこれ。いつの間にこうなったんだろ?

※この話は続くかもしれない。