デトロイト

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な、な、な、なんなんだ〜〜この恐ろしくクソ素晴らしすぎる映画わ〜〜……

凄いぞ〜凄すぎる〜。。95点をいきなり献上!
皆さんも是非大画面でご覧ください。


1967年にデトロイトで黒人主導の暴動があったらしいんだが、その時極右かつ白人のデトロイト市警が3人ばかし無実の黒人を銃殺刑に処したらしいのですが、その模様を証言と記録をもとに再現した映画。…という事で紹介は終わりなんすけど。

「ゼロダークサーティ」「ハートロッカー」で物々しい戦場の描写を培ってきたキャスリン・ビグロー監督。まあとりあえずどんな人物なのか写真を見て欲しい。

右のブロンドの人物ですが、このかた、確か今年で68歳の筈です。若々しいですね…他にも写真見ましたが、凄まじいプロポーションで、体型を維持されています。この時点で普段からストイックに生きる求道者なのかと思えてくる。60代でこのスタイルを維持できるのは凄い。

この猛烈女史が、デトロイトの街をまるでパレスチナ自治区のように、ユダヤ人ゲットーのように描き、抑圧するものとされるものを明確にしている。

圧巻なのは白人警官達の筆舌に尽くしがたい残虐性だ。特にデトロイト市警が完全なる悪玉として描かれているのだが、「ランボー最後の戦場」のミャンマー軍か、というぐらいに最悪な組織として描かれている。これには感動した。

当時のデトロイトは、黒人労働者の増加を嫌った白人富裕層が郊外に移り、黒人は白人達に阻まれて市外に出る事ができなくなり、まるで包囲されるかのような形となっていた。街の中心部では貧しい黒人が増加し、資本の流入が止まって仕事が減り、貧困と犯罪が日常だった。そんな黒人だらけの街を95%が白人で構成されるデトロイト市警が見回る。彼ら白人警官達は悪夢の如き黒人差別者達で、目を覆うような暴力性で黒人達を抑圧している。

ある晩、ベトナム戦争の帰還兵(黒人)をみんなで祝っていたら、デトロイト市警が殴り込んでくる。夜間の飲食店の無許可営業の嫌疑だが、黒人が固まるのを恐れる白人はこうやって黒人達を無理やり引き離し、トラックに乗せて連行し、汚い監獄にぶち込んでいた。それが日常だったのだ。

黒人達の怒りはこの夜に沸点に達し、暴動へと発展する。確かに悪さを働く貧しい黒人達。盗みや破壊行為。警官達への銃撃。デトロイトはまるで戒厳令下のように夜間外出禁止令が発せられ、装甲車に乗った軍隊と警察が跋扈するようになる。

軍やミシガン州警察、デトロイト市警などあらゆる治安部隊が動員された。治安部隊は銃剣を装着したライフルを持ち、重機関銃を搭載した装甲車に乗り、本来航空機を撃つ為に作られたブローニングM2の12.7ミリ弾を容赦なく子供にまでブッこむ。

黒人達の暴動も確かに酷いが、それを制圧する血に飢えた白人どもの暴力性は筆舌に尽くしがたい。
「倍返し」って言葉が何年か前に流行ったが、黒人の悪さに対する白人の制裁はまるでソドムとゴモラの酸の雨。やりすぎである。そこまでする必要はない。と真顔で断言。酷すぎる。

そして、そのやりすぎ加減は中盤のモーテルのシーンで激しい人種差別の賜物だとわかる。

かけっこでよーいどんの時に使うパーンと鳴るおもちゃの銃を遊び半分で鳴らす不良黒人。確かに彼の行為は不謹慎。なにしろデトロイトでは暴動が続き、まるで戒厳令下のようなのだから。あまりに浅はかである。しかし、このイタズラ行為に対する白人どもの報復たるや凄まじく、イスラエル軍ですらここまでしないんやない^^;?と思えるほど。

銃はどこだ!銃を渡せ!誰が撃った!犯人はどこだ!←まるでゲリラ狩り

モーテルを奇襲するデトロイト市警に捕まった数人の黒人青年達。尋問が始まる。壁に両手を突かせ、口汚く罵りながら殴る蹴るの暴行。銃で脅し、執拗に陰険にネチネチと尋問する警察官。共産圏か!と言いたくなるぐらい酷い。

中には二人の白人女性も。黒人とヤるのが好きなちょっとアレな女の子達ではあるが差別主義者ではなく根は善良。デトロイト市警は彼女達ですら攻撃。黒人と寝る女は裏切り者の売女に違いないという、恐ろしくチープな人種観に唖然とさせられるが、この辺の偏狭さこそが人間の(特に男の)正体だと思わされる。おれが白人男性だったら穴に入って隠れたくなるぐらい恥ずかしくなるだろう。。とはいえ、おれも黒人とヤるのが好きなアジア女をみたら心底軽蔑すると思うから、おれの人種観も所詮60年代のアメリカ白人ぐらいで止まってるんだろうな。

とりあえずこの映画の最大の山場は、この40分前後にも及ぶ尋問シーンで、ネチネチさ加減がもはや欧州映画のクオリティである。ミヒャエル・ハネケの「ファニーゲーム」でも参考にしたんじゃないかと勘繰りたくなるぐらい、とても酷い…陰険でネチネチしてて、とにかく胸が悪くなる。これは必見だ(笑)。

そしてまたデトロイト市警の面々が素晴らしく、イカしたキチガイ面の神経質そう〜な奴らを取り揃えているんだ。特に差別主義者の警察官ウィル・ポールター(冒頭画像左)は良い面構えだ。誰がどう見てもねちっこいだろ。と言いたくなるぐらい良いツラしてる。英国俳優らしいジトジトさ加減で、世界中の有色人種を面白半分で拷問にかけ、鏖殺し、制圧してきた白色人種の正統なる末裔といった面構え。ご本人には悪いがとても良いツラだ。だからこそ抜擢されたのだろう。

それこそ他にも良いツラの悪党が揃えられている。後半登場する尋問官二人も大変良いツラ。いきなりバーンとテーブル叩く場面など最高である。悪すぎる…悪すぎるぞデトロイト市警…。←つうか、この尋問官二人はひょっとしてFBIだったのかな?情報求む!

後半も胸が悪いがネタバレになるので割愛。この映画の見所は極悪なデトロイト市警と、彼らにテロリズムを容認するアメリカの恐るべき黒人差別の描写である。必見だ…「ゼロダークサーティ」はどうかと思ったが、これは最高傑作じゃないか?とにかく映画として面白い。

とはいえ、この映画は偏ったプロパガンダ的な映画でもある。プロパガンダというか、極めて政治的な映画だ。この監督らしいといえばそれまでである。とにかく白人社会のリベラリズムの最先端を行く映画であろう。

これまで白色人種は世界中の文化を文字通り死と破壊でもって台無しにし、白人だけが勝者となるスタンダードを形成。そしてそのスタンダードから半歩も足を踏み出すこともなく、今度は「僕たちはお上品じゃなかった」とお利口さんな映画を作り、みんなに褒めてもらってニヤニヤしている。この映画をそういう視点で眺めることも勿論可能だ。正しさを強制してくる白人どもにはウンザリだし鼻白む。

とはいえこの映画は、黒人差別に縁遠い俺たちアジア人にとっては極上の娯楽映画になりうる。おれがアメリカ白人だったらこの女流監督にきっとムカついていたと思うが、おれは日本人だしデトロイトの暴動もイスラエル軍顔負けの白人警官も、対岸の火事としてどこか他人事のように見れた。

もちろんこの映画がトランプ政治に対するアンチテーゼとして撮られたのは確かだ。極めて政治的な映画である。つうか、ここでの不良白人達の悪行はかなり誇張されてると思われる。この映画に感動したとすれば、間違いなく共和党に票を入れちゃいけない気分に誘導されると思うので、アメリカ人にとっては厄介な問題作だろう。素直に賞賛し、トランプの悪口言ってればお利口さんに見られるんなら、おれだったら人前でだけトランプを批判し、選挙ではこっそり共和党に入れるだろう。

なんか最後はそんなことを想像してしまったが、実に緊迫感に溢れたスリリングな映像でもある。娯楽映画と捉えられれば完璧に楽しめるだろう。おれは5点ばかしのめり込めなかったので95点を献上。完成度はそれほど高い。色んな人に観てほしいな。