小室哲哉

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小室哲哉、涙の引退会見「悔いなし、なんて言葉は出てこない」
https://natalie.mu/music/news/265902

まあ、知らんけどね。何があったかなんてのは、当事者同士にしかわからんことだし。

しかし、この会見は読んでて泣けたよ。ウルっときたすわ。何とも文学的である。長年音楽ばかり作ってきたこのシトが、作詞や歌にも通ずるのか、スピーチの才能にも恵まれているのは確かすわ。切なすぎて胸が苦しくなった。言葉にならないレベル。ぜひ読んでほしい。


大人にならなきゃわからないことって実はたくさんあるんすよ。
ガキの頃は世の全てがわかったような気になって、いい気になったり周囲を全部バカにしたり、極端な思想や行動に走ったりもするんだが、歳とって初めてわかることってけっこうたくさんあるんですよ。経験しなきゃわからないこともね。

まずKEIKOが高次脳機能障害という部分に関してだが、これは大部分の人には具体的にどういう状況なのか全然わからないだろう。おれが小室の代わりに説明すると、高次脳機能ってのは大脳の最も人間らしい精神機能を司る部分で、ものの認識や空間の把握や、言語の理解・形成、物事を筋道立てて考えたり、計画したり、振り返って反省したり、我慢したり、意欲を制御したり、客観的に自分自身を見つめたりする能力のことだ。広義の精神疾患とは区別されがちだが、高次脳機能障害は立派な精神障害である。脳血管障害や頭部外傷の後遺症としてしばしば出現する。癲癇発作の後遺症やアルツハイマー病にも付き物で、決して珍しい病態ではない。

KEIKOの症状はわずかに記されるのみだが、「全てに意欲を失った」という部分で大体の病巣がわかる。大脳新皮質は前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉とで役割が全然異なり、意欲関心を制御する部分は一般に前頭葉とされている。前頭葉は人間を人間たらしめる司令塔と表現されることもある。脳の大本営のようなもので、前頭葉に損傷を受けた患者は実に多彩で厄介な精神症状に悩まされる。意欲の低下(臨床的には「発動性の低下」などと呼ばれる)は実に厄介だ。重症例になると何に対してもやる気がなく、クソ垂れてるからオムツ交換しようとしても「もういいよ…」という。自分がやるわけじゃないのに。人がやるのに「もういいよ…」という言葉が出てくるのだ。「ありがとう」だなんて言葉はまず聞かれない。これを介護する人間は実に厳しい現実と直面する。

また、前頭葉症状としてよく見られるのが、「我慢できない」という症状だ(臨床的には「抑制の低下」と呼ぶ)。
すぐに怒るし、目の前にトイレがあるのに失禁したりするのだ。これを介護する人間は…(略)

KEIKOがここまで重症だとは考えにくいが、小室は数々の奇妙な症状に苦しめられたはずである。どうすれば良いのかわからず疲れ果てただろう。専門家の支援を間違いなく必要としただろう。そして、国は病院や施設のベッドをどんどん減らし、在宅医療へと舵を切ろうとしている。看護師がお宅に訪問して医療的処置を行うことは昨今珍しいことでも何でもない。看護師だって万能の神ではない。看護師が来れば全て安泰なんてことはまずないし、看護師も支援の質を上げるために小室の協力を必要としたはずだ。小室と看護師の間には協力関係と信頼関係があったはずだが、下世話な記者が全てを台無しにしてしまった。不倫だなんだと、一つの家庭を破壊してしまったのだ。そして、才能豊かな音楽家の人生をも終わりにしてしまった。一体誰が何の権限があってこんなことをするのか。非常に怒りを覚える。

小室は59歳だ。しかもC型肝炎。突発性難聴。彼のスピーチをくまなく読むと、普通に不倫ができたとは考えにくい。看護師は大部分が女だ。女が医療的処置をしに家に来るたびに週刊誌に叩かれるのであれば、彼が引退を決意したのもわかる話だ。実際よく知らんけれども、もし不倫があったとしてもそんなもんが他人に関係あるのか? 一体誰がこの記事を読んで小室を叩き、嗜虐心を満足させているというのか。その卑しい心根は一体どこから育まれたのか? 何とも醜い、この世の全てが嫌になるような出来事である。週刊文春の類稀なる残虐性にも絶句するしかない。誰もこの記事を読んで喜んでなどいないのに、なぜこうまで執拗に不倫を追いかけるのか。社会の最も病んだ部分を見た思いがします。