ケンとカズ

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田舎ヤンキー犯罪映画「全員死刑」はとても清々しくかつクスリと笑える感じの和やかな映画でしたが、こちらは対照的な映画だ。タイトルが大変に地味で、おれはこの映画に想いを馳せるたびにどっちがケンでどっちがカズなんやったっけっという問題について考えねばならないのだが、片っぽは「全員死刑」で荒んだヤンキー面を画面いっぱいに大炸裂させてくれた毎熊克哉である。

経歴をググってみたら思った以上に真っ当な経歴だったので笑った。てっきりその辺のヤサグレにいちゃんを連れてきて騙してカメラの前で暴れさせているのかと思ったが、このチンピラっぷりはどうやら演技なのだという。実力派というのは演技を演技と感じさせないアレコレが必要なんじゃないかと思える。毎熊氏は実に素晴らしい俳優ということになる。

いい顔だ、、、

この映画の毎熊氏は「全員死刑」の兄貴とビジュアルから何から全部同じである。なんなの?この映画から転生したの?というぐらい似てる。監督や製作陣が同じなのかと思うぐらい似ているので、「全員死刑」の兄貴に惚れちゃった人はマストな映画であろう。

なんで荒んだチンピラ面…金ネックレス似合いすぎ

えーと、で、この人がケンだったかカズだったかは正直忘れましたが、相棒のこれまたケンさんだかカズさんだかは、このツラだ。

全然迫力なしですね。。シャブの売人やってる自動車工にゃ見えん。これじゃオタクだ。プレステビータなどを常に持ち歩いていそうである。カトウケンイチというそうである。名前は知らないがどこかでみた顔だ。

まあ、この二人は一方がキレキレ暴走機関車で、もう一方が理知的で優しい感じの役柄なのでこのような配役になったのだろう。

ストーリーはショボい仕事をしながらシャブ売ってお小遣いを稼ぐお二人さんが喧嘩ばかりしながらもお互いに危機を乗り越えつつ友情を深めるという王道。ストーリーに捻りはない。ただ出てくる人間が妙にリアルで、ケンとカズはショボいヤクザの使いパシリとして覚醒剤の売人をやってるのだが、この元締のヤクザが異常なショボさで、組員は二人だけ。一人は親分で兵隊はもう一人だけという有様で、こんなハナクソみたいなヤクザが本当にいるんかいなというぐらいにショボい。ただ、なんだか異常にリアルで、もともとは中学高校のヤンキーの先輩らしくその頃の腐れ縁で二人はやばい仕事も断れずに使いパシリになってるわけだ。

むちゃくちゃやりつつも、二人はお互いに複雑な家庭環境の中で人間らしい葛藤も抱えており、ただのキレキレ犯罪者ではない。「全員死刑」では犯罪を犯す側の人間味みたいなものはハナから度外視されていたように思うが、日本の国ではこんな最底辺の悪党でさえしがらみに囚われてままならない事情があったりする。というか悪党ほど雁字搦めなのかもしれん。。考えてみりゃ当然の話なんだが、この辺りを丁寧にケアしたこちらのほうが大人向けの作りだと言える。地味だとは思うが心にグッとくる度では軍配があがる。

また、暴力も変に銃を持ち出したりせず、基本的にはステゴロと鈍器とかだけ。この辺もやけにリアルだ。ヤクザの組長がここぞという時に取り出す武器がガキのチンコのようなナイフだったりする。

荒涼とした逃げ場のない半グレ集団の営みを乾いた描写で淡々と刻む感じの映画だが、物語はバランスよく山場が配置されており、常に緊迫感が画面から溢れているので一気に観とおせてしまった。多分滅茶苦茶低予算だがなかなかの佳作で、TSUTAYAで偶然見かけて手に取っただけの映画なんだが、もっと評価されてもいいんじゃないかと思う。新鋭監督の小路紘史の今後に注目。こういう手合いがいなくなったらおしまいだ。

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