ミスミソウ

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ムナクソ悪い系のホラー漫画だ。ホラーといっても幽霊は出てこないしゾンビも出てこない。今はやりの「本当に怖いのは人間」系のホラー。ごくありふれたプロット。

いじめられっ子が、いじめっ子に家族を殺され、復讐鬼と化すという、色々と既視感のある設定だが、絵柄や表現が個性的で、ありふれたお話ながら異様な緊迫感を放つ一作だ。けっこう胸が悪くなった。

都会から父親の仕事の都合でやって来た主人公の女の子が、田舎もんのガキどもにいじめられる。いじめの内容はすさまじく、なんでここまですんの・・??とその憎悪の来歴がそのままサスペンス要素となっており、ぐいぐいと先を読ませるエネルギーがある。生唾ぐびぐび飲みまくりの2時間半だった。全三巻で話はかなり短い。すぐに読み終わると思う。

ただし、話は本当に凡庸。普通にバトロワに影響を受けた感じで、次第にいじめっ子同士でも醜い仲間割れをはじめ、手元にある凶器を使って殺しあう。それは文化包丁であったりサバイバルナイフであったりボウガンだったり鉄パイプだったりする。殺戮や暴力の描写はホラーらしく露悪的で、わざと血糊を多く、体の損壊を激しくしている。それがこの漫画の見所だ。

いじめられっ子が為す術もなく自殺し、死に追い込んだパーセキューターの人間たちはのうのうと生きながらえ、隠匿したクソ教師どもも平然と教師を続ける。これが現実である。いじめられっ子がいじめた人間、傍観するだけの無能教師どもに復讐の牙をむくなど、そういうことは現実ではほとんど起こらない。残念ながら。弱者は弱者のまま死に絶える。強者は生き残り凱歌を上げ、いじめ殺したという「戦果」を肴に酒を飲む。

このような憤るしかない現実に対し、ファンタジーを用いて一矢報いた癒し系の漫画といえる。タチの悪いガキどもに家族を虐殺されたいじめられっ子が復讐する姿は清々しく、カタルシス以外のものではなく、物語は序盤から復讐へとシフトし、恐怖要素は大幅に減退(韓国映画の「ビーデビル」を思い出した)。結局いじめっ子たちがなぜここまで主人公を憎んだのかという部分に関してはほとんど何の説明もなし。ちょっとあったけどまったく納得できないものであった。これは拍子抜けであった。

たとえば、いじめっ子はマジでボウガンで頭を狙って発射したりするし、家まで押しかけて灯油をばら撒き家族もろとも焼き殺してしまうのだが、ここまでする理由としては弱かったように思う。どうにもこじつけた感が否めない。

復讐鬼と化した主人公は「どうしてそんなに鬼神のごとく強いのに、これまで黙っていじめられてたの??」と聞きたくなるぐらい無敵で、ほぼチート状態。これではファンタジーに過ぎないと感じた。いじめられっ子の女の子が鉄パイプでいじめっ子を殴り殺すなんて、ほとんどあり得ないことである。そんなのができるならハナからいじめられるはずがない。この辺は露骨に嘘くささを感じてのれなかった。

救済者と見られていたボーイフレンドも実はサイコパスで・・・・となってくるとますます敵も味方も入り乱れての殺し合いになってしまい、話は無茶苦茶。ほぼバトロワにしか見えない後半は、恐怖要素など微塵も感じず、単なるアクション漫画になってしまっている。社会派要素ももはやなく、低レベルなホラー漫画といった趣き。序盤はぞくぞくするほどおもしろかったが、これは家族を殺すのが早すぎたと思う。もっと引っ張って引っ張っていじめられ続け、最終的に家族が殺され自分も殺され、加害者も教師も平然と卒業する、という話にしたほうがより現実的で、絶望も深くなったと思う。

あと、絵柄がプロであるのを疑うレベルでとても下手くそ。キャラの描きわけさえ満足にできていない。このガロっぽい下手くそな絵柄でグロ描写はなかなか異様で迫力があったが、読み返しているとやっぱりしみじみと下手くそな絵だなあと思ってしまった。

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