提督の戦艦

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また馬鹿馬鹿しいタイトルの映画を紹介して申し訳ない。。。。本来なら「戦争映画中央評議会」で紹介する映画のはずだが、諸所の事情であっちは更新停止中である。よってこのブログで紹介します。

これは例によってタイトルはデタラメである。この邦題をつけた人間にも色々な大人の事情があったに違いないが、どう考えても内容とリンクしていない。これではまるで海戦がメインの映画のように思える。が、実際は海戦のシーンは最初の15分ぐらいで、あとは全然塩粒一粒出てこない。騙されないでいただきたいと願う。

これは、ロシア革命直後に帝政派の白軍と、ボリシェビキが主の赤軍との内戦が起こったのだが、白軍の中でも最も有力な指導者の一人としてロシアではちょっとだけ有名なコルチャーク提督の伝記映画である。コルチャークはロシア帝国海軍の将軍の一人で、のちにほんの短期間だけ白軍の代表者となった。白軍の代表者は他にもデニーキンやホルヴァート、セミョーノフなど色々いるんだが、そんな中でもロシア国民に一番人気があるのはこのコルチャークであって、その理由は顔立ちが端正だからではないか、、、との身も蓋もない理由が推測として挙げられている。つくづくイケメンは強し。

コルチャークは生粋の軍人で、政治家としては最低ランクの人間だったらしい。武力で赤軍を叩きのめすことにしか関心がなく、民心を味方につける才能はまったく無かったようだ。それが敗因となる。結局ありふれたブルジョワの一人に過ぎず、日本もシベリア出兵の時はほんの一時的に当てにしたらしいが、コルチャーク麾下の白衛軍は一時はシベリアで13万近くに膨らんで赤軍を圧倒したが、叩けば異常に脆弱で、どんどん裏切ってあっというまに瓦解したそうである。最後は護衛として身を守っていたチェコ・スロバキア軍団※に裏切られ、赤軍に引き渡されてあっという間に銃殺刑にされた。

※第一次大戦時、ハプスブルク朝の支配下で喘いでいたチェコ人スロバキア人が、反旗を翻してロシア帝国の義勇軍としロシア国内で結成されたのだが、革命でロシア帝国が崩壊すると居場所を失い、ロシア国内で反革命軍として旗上げする。そのチェコ・スロバキア軍団とコルチャーク麾下の白軍が一時期接近して仲良くしていたのだが、チェコ・スロバキア軍団はチェコ・スロバキアの独立とともに戦意を喪失し、一刻も早い帰国を願ってコルチャークを手土産に当時優勢だった赤軍に接近。コルチャークはあえなく逮捕されてしまう、、、ということが1920年ぐらいにあったわけです。

この映画はそんな非業の英雄?コルチャークの伝記映画。戦闘シーンはわずかにあれど、ほとんどは部下の妻を寝取った恋愛込みの歴史叙情映画といった風向き。演出も現実味がなく、戦闘シーンも落第。コルチャークはどうにもこうにも中途半端な英雄として描写されており、チェコ・スロバキア軍団は卑怯者として描かれている。

ただ、これは2008年の映画なんだが、ロシアでは旧ロマノフ王朝の大公や白軍指導者の再評価が盛んに行われていると聞く。コルチャークはひいき目に見てもごくありふれた無能な指導者だと思うのだが、ロシア国民には人気があって、白軍指導者としては一番有名なんだとか。その理由が本当に顔だけだというなら、イケメンおそるべしと言うしかない。恋愛パートは実に退屈で、戦闘シーンも少なく、映画は無駄に長い。オススメはしないが、白軍指導者にスポットを当てたこの時代の映画は珍しく、資料的価値はあると思うのでマニアはチェックしてください。

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