無限の住人 劇場版

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今朝朝一で観てきた。

無限の住人、木村拓哉主演という、近年これほど胸の躍らない企画もなかったが(まあそれでもジョジョよりはマシだけど)、木村拓哉の万次さんのビジュアルが思ったよりさまになっていたのと、残酷描写には定評がある三池崇史監督とのことでなんとなく気になっていた。

ちなみにワタクシは原作は全巻揃えているそれなりのファンだが、好きなのは序盤も序盤の閑馬永空あたりまで。無骸流辺りが出てき始める時点でこの作品は全部蛇足だと思っている。つまらないし、無駄に残酷で趣味が悪すぎる。

そんなワタクシの一番好きなキャラクターはシドヒシヤスと黒衣鯖人だ。特に黒衣鯖人の手裏剣が大好きなんだが、この映画ではまったく再現されていなかった。にもかかわらず後半万次が黒衣の手裏剣を持って、しかもぶん投げるという使い方をする。この辺を見てもわかるように原作に少しでも思い入れがあるとこの作品はまったく楽しめない。原作からの改変が多く、にもかかわらず原作の流れに囚われている。日本映画の悪しき因習にもど真ん中でハマっている。言いたいことが多い映画だ。

まず一つ良いのは、斬られたらちゃんと血が出ることだ。フツー時代劇は斬っても血が出ないし肉体も切断されないし内臓も飛び出ない。ここが一番不満なんだが、この映画では少なくとも血は出るし、手足ぐらいは切断される。切り株こそが重要だ。日本刀で斬り合いするのに血が出ないなんてそんなわけはないのだ。

この映画を補完するのに、念頭に置くべきは「十三人の刺客」のリメイクだ。この映画は「無限の住人」に似ているが、もう少しリアルで大人向けだ。

今回の「無限の住人」はとにかくガキっぽい。

もちろん、原作が漫画だからそう感じるのだ。漫画なら許される表現でも、映画にすると途端にガキっぽくて赤面してしまうようなアホくささが漂うものだ。この映画はまさにその見本である。

特にそれが表れているのがキャラクターの衣装だ。カラフルでわけのわかんない漢字が刺繍されていて、チベットの少数民族みたいなおかしなアクセサリーを身につけていたり、原作の漫画からしてそんな感じだったが、漫画だから許されていた。でも映画にするとこれが胡散臭い。コスプレしてるように見えてしまうし、殺陣が血を噴出させる、ある意味リアルな描写なのに、このコスプレ臭さで台無しになってしまっているのだ。特に福士蒼汰演じる天津影久はひどい。まあ原作からして優男で、衣装も原作に忠実なのかもしれないが、なにしろ漫画は白黒だからこの珍奇な衣装もそこまで悪目立ちしてはいなかった。しかし映画では・・かなりひどい、かっこ悪い衣装となっている。時代劇でこれはねえだろう。ふざけているとしか思えない。

他にもサングラスかけたキャラクターがいたりとか、原作からしてキャラデザインに疑問を感じたものだったが、映画版もこれを漏れなく踏襲しており、むしろ踏襲しなくて良かった部分はしっかり踏襲してしまうというもどかしさを感じた。

ではストーリーはどうかといえば、全部で30冊以上ある原作を2時間ちょいの時間に凝縮しているせいで、全編どうにもならんご都合主義でまみれていて救いがたい。どうすれば良かったのかさえよくわからない。おれとしてはアクションさえ見れれば確かに満足ではあったが、あまりに話と話のつながりが乱暴で、開き直りが過ぎるなと感じた。ここまで大河ドラマの総集編みてえにダイジェスト仕様にすることはなかったと思う。

他にも重要な台詞はとりあえず絶叫するだとか、顔の汚し方とかが事務所意向を無視できない小ぎれいな汚し方だったりだとか、日本映画の悪しき因習がそのまんま改善されずに放置されているだとか、素直に賞賛できない映画となっている。まあ、木村拓哉は思ったよりアクションが華麗でよかったし、リンちゃん役の子も可愛かったが(でもとりあえず絶叫すんのはやめてほしいな、、、みているこっちが恥ずかしい。。。まあこの子のせいじゃねえと思うけど)、、、、アクションが豊富でだるいシーンが少ないので、けっこう一気に観とおせるが(原作は後半に行くほどアクションが少なくてマジで怠い展開なんだよね)、マキエのエピソードは不要だったと思う、、、まったく映画の中ではマキエの境遇を語りきれていなかったし、影久との複雑な人間関係も描けていない(描こうとすらしていない)。原作では文句なしのチート級の最強キャラなんだが、いまいち存在感もなかった。

これより「十三人の刺客」のほうが絶対面白いと思う。おれはあっちは好きなんでこれにも期待したが、後半のご都合主義だけで適当に乗り切る展開には閉口した。素人以下の脚本だ、、、万次さんが色んな武器をどんどん使ってくれたり、木村拓哉のワイルドな演技は良かっただけに残念な映画でした。

ちなみにこの漫画、フランスではたいそう人気があるそうなんで映画もカンヌに招待されたそうだが、高い評価を得るのは無理でしょう。脚本があまりに酷すぎる。日本人以外が観るかもしれないという緊迫感にまったく欠けている。一年後には誰にも思い出されない映画になるだろう。

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