哭声コクソン

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ああ、もうどうしよ。
「お嬢さん」「アシュラ」「哭声コクソン」と観たいのが韓国映画しかない。韓国映画のストーリー展開のテンポの良さや、俳優陣の演技力、層の厚さ、流行を惜しげもなくより大胆に露骨に再構成する姿勢、タブーを恐れぬ製作、絵の美しさ、、、、、誰がどう考えても世界最良の映画製作国だろう。韓国映画を無視するのは真の映画好きとは言えないな、とすら思えてくる。すっごい勢いがあるし、勢いが緩む気配もなし。

※一番下にネタバレ書いているので注意してちょうだい


そんな韓国映画の最近の流行は、悪役に日本人俳優を起用することなんだそうだ。それまでは適当な俳優に下手くそな日本語を喋らせていれば問題はなかった。しかし、最近はこの「コクソン哭声」にもみられるように、高額ギャラ必須の日本のベテラン俳優を起用するのが増えている。「隻眼の虎」でも大杉漣が出ていたりする。それまで韓国社会最大のタブーだった日本領朝鮮時代を舞台にしたお話が増えているのも関係しているだろう。来週観たいと思っている「お嬢さん」も1939年朝鮮が舞台だそうである(日本人俳優は出ていないようだが)。

「哭声コクソン」では國村隼が悪役として登場し、韓国映画界で最も権威があるとされる青龍映画賞の男優助演賞を受賞したとかで話題となっている。監督は「チェイサー」「哀しき獣」の鬼才ナ・ホンジンで、おれも両作には心底興奮して喝采を送ったものだ。

今回も予告編からしてかなりハードボイルドな作風を予想していたのだが、ややコメディタッチに作られていて場内ではところどころ笑い声が溢れる場面も。考えてみれば、「チェイサー」「哀しき獣」も少々漫画チックなキャラ造形が目立っていたようにも思う。若い人に勧められる観やすいタッチと世界観といえるだろう。

ストーリーは、小さな村で次々起こる不幸の原因を探る警察官の活躍を描いている。
奇怪な事件、殺人、奇病、実の娘の奇行の原因が山にこもる謎の日本人にあると目星をつけ、色々と奮闘する。日本人(國村隼)を追い出そうと脅したり、祈祷師を雇ったり、仲間集めて山狩りしたりとか。でも全部無駄な努力に終わる(笑)。

物語は多重構造になっていて、伏線が無数に何重にも張られているので最後まで何が起こっているのか、誰が悪くて誰が味方なのか、っていう肝心の部分そのものが謎解きの要素になっている。確かなのは、村自体が何者かに呪いをかけられているらしい、娘も「エクソシスト」のリーガンみたいにだんだんバケモノみたいに変貌して行くのだが、父であり主人公の警察官は誰が黒幕なのかだんだんわからなくなって行く。誰の言うことを信じれば良いのか、誰が味方なのか、、、、観客も最後の瞬間までわからない。そんなメタ構造を持つ映画なのだ。

「韓国版エクソシスト」のようであり、「韓国版ゾンビ」のようでもある。悪魔祓いやゾンビ、お得意の猟奇殺人要素も貪欲に取り込んだ本作は、色々既視感はあるもののトータルでみればかなりユニークな作品だ。主人公は本当にただ腹の出たブ男。これはいかに韓国映画の俳優層の厚さを持ってしても説明しがたいほど珍しい。でもこれが「殺人の追憶」のソン・ガンホを連想させるような人道的デブで、むちゃくちゃ存在感あるし演技もうまいのだ。制服もビシッと決まっている。日本が一番見習うべきはここだろう。お顔が綺麗じゃない人間は悪役かチョイ役かお笑い扱い、という悪しき風習がこの国をダメにしていると知るべきだ。

次に、「雨」。刑事ドラマと雨はとにかくマッチする。「セブン」などでもおなじみだ。韓国映画の警察モノはとにかく雨がジャブジャブ降る。雨が映画にもたらす効果を最大限に引き出しているのだ。日本ももっと映画の中で雨を降らせるべきだろう。

ゾンビやエクソシストの要素では、結局呪いがゾンビを生み出しているという、シンプルな構造ながら、ありそうでなかったと思う。だいたいゾンビ化はバイオハザードや原因不明で、ゾンビが出てくるとそれのみしか出てこないのが通例だが、これは様々な要素の中にゾンビ「も」含まれているんだよな。

悪魔祓いのシーンも、韓国土着の自然崇拝?風水?道教?なんだかわからんが導師?的なキャラクター、「祈祷師」が異常な存在感を放っている。カルトにハマった照英のようなビジュアルで、おれ的に助演男優賞は彼で良かったんじゃないか?と思うぐらいの怪演だった。

この人のお祈りの異常なまでに暴力的でダンサブルでテンションの高い様子は完全に映画的に必見だ。ぜひ大画面で見てほしい。これも「エクソシスト」冒頭の、やたら金属音がシャンシャン打ち鳴らされるイラクの町の様子を連想させる。不穏で居心地の悪い情景で、子供に見せたら確実にトラウマになるだろう。いかなる宗教的裏付けでこのような奇妙な儀式が行われるのか一切謎だが(つうかこれは多分オリジナルだよな)、とても迫力がある。

「日本人が怪しいぞ」とたれ込んでくれる若い娘(色気の出てきた井上真央って感じのビジュアル)の姿をした亡霊や、警察官のワル仲間、妻(これがまた美熟女)、義母など、登場人物それぞれが濃い存在感を放ち良い仕事をしていると思う。

当方、酒浸りの日々でコンディション最悪でかなり観る前眠かったのだが、怒涛の展開にいつしか眠気も吹き飛んだ。なんだかわからんがすごいエネルギーを感じる映画なので観るよろし。え?國村隼の話はしないのかって?う〜〜ん、、、そんなに目立ってなかった気が、、、、セリフもめちゃ少なかったと思うけどね、、、(どうやら韓国では日本人ベテラン俳優を出せばそれだけで話題になるようです。ありがたいことです)

ネタバレ↓

カメラ好き悪魔という日本人のメタファーというオチは清々しくて良かったです。悪魔の役は日本人がふさわしい!国民総出で納得!というかそれが伝統!ヒヒヒヒ…(カシャッ)

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