カナザワ映画祭から帰還

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えー。無事カナザワ映画祭の予定の全日程を終え、今新幹線の中でこれを書いております。


まー、なかなかインタリスティングな体験をさせていただきまった。

特筆したいのは、最後の最後! 「期待の新人監督」という、最近の新人監督の意欲作を三つ並べてどれが好き? と観客に問う企画が用意されていたんですけど、これがねえ、一言では語れないの!

二個目に上映された「さいなら、BAD SAMURAI」という、自主映画で借金作った男がただ単に金に苦しみつつオナニーばかりしているというストーリーなんだけど、一個目と三個目がなんの変哲も無い、よくある童貞の妄想だったのに対し、二個目は童貞(=落ちこぼれ)の現実を描いていた…………と思うんだよ。

sainara

いい顔だよなあ、、声もいいのだ

劇中主人公はオナニーばかりしていたけど、三作の中で一番オナニー臭が少なくて良かったよ!たぶん、三作全部よく似たプロットだと思う人も多いだろうけど、二個目は一個目三個目とはまったく異なる作品だよ。本当にめちゃ苦労したんだな、と現実感が映像から滲み出ていた。これは稀代の大傑作だと思う。しかも、暗くならずに、自分のしょっぱい日常を、自分自信のプライドみたいなものからちょっと距離おいて描いてて、そのおかげでかなり秀逸かつシュールなギャグになってんの。しかもビジュアルの面白さがそれに拍車をかけるのよ。もう本当にこういう人生だったんだろうな、って画面から演技から主人公の声のトーンや冴えないツラから、全部まろび出てるわけですよ。これは良かった。。掛け値なしに素晴らしかったよ。

まあ、今回の新人監督の作品は、不平等な資本主義社会で落ちこぼれた負け犬どもの呻きのような作品ばかりで、こういう高学歴な落ちこぼれって、みんな下手に学があるもんだから、自分がどう足掻いても底辺から抜け出せないと確信してしまっているんだけど、おれから言わせたらそんなもん思い込みだよ。社会にも出てねえ、まだ勝負もしてねえのに、ググった程度の話を鵜呑みにして勝てないと信じこんじまってるだけだ。男はどんなに逃げまくっても腹を据えて戦わなきゃならんときが必ずくる。逃げられなくなる日がいつか来るのだ。

一作目に戻るけど、派遣切りにされた無職のダメ男が、美少女テロリスト(笑)と出会って童貞捨てる話なんだけど、賭けてもいいけど、この監督は派遣切りにあった経験は絶対ないね。派遣切りって設定をかるぅーくつけちゃっただけ。主役の男の子は派遣のバイトさえやったことなさそうな童貞ヅラで、ドSな美少女にケツを叩かれて童貞を刈り取ってもらうというどうにもならん話だ。無職のダメ男でも欲望だけは一人前という、残念な現実をひたすら追った感じではあるが、話や絵が冗長で無駄なカットが多く、35回ぐらい特大の欠伸が出た。もう新幹線乗って帰っちまおうかと思ったぐらいつまんなかった。主人公の貧困の描写も中途半端。思想やテーマをモノローグで直接語らせちゃうし。工夫も乏しい。いいところを見つけるのは難しかった。

三個目は、これまた気持ちの悪いツラの豚公が、映画研究会でゴミ扱いされながら映画を撮るというストーリー。露骨に「リリイ・シュシュのすべて」や「桐島、部活やめるってよ」に影響を受けたっぽい作風だ。あとところどころブレアウィッチ。セミドキュメンタリーの大御所をいっぱいパクっているが、主役の豚が情けないツラで常におどおどしているので、観ていてイライラしてしまった。映画の中でぐらい、女を思い切りブン殴ってみろ! キモくて安いプライドも滲み出ていた。これも一個目とプロットはほぼ同じで、ダメなキモ豚が、いきなり現れたドSな美少女にしばかれて童貞を捨てる(またか)という、どうにもならん話だ。もういいかげんに勘弁してほしい(真顔)。

一個目も三個目も、エキストラなのかヒロインなのかどちらでもいいが、美少女を集めてカメラの前で演技させるという才能は素晴らしいと思うので、あんがい、AV撮らせたらかなり良い感じなんじゃないかなあ(真顔)。

ドSな美少女にしばかれながら、クソ男が童貞奪ってもらえるというファンタジー。これはいまや古典的プロットだといえるのだろうが、ひと欠片も共感できないのが辛いところだ。資本主義の厳しさは、金や名誉がなければ女はチラリともこちらを向いてくれないことだ。目があうことさえない。面と向かっては気持ち悪いとすら言ってくれん。そのあたりをファンタジーにしちゃっといて、派遣切りにあっただの、アダ名は「脂」ですだのと、全然響いてこないわなあ。。何言っても悲壮感は漂わない。美少女に逃げては駄目だ。

ちなみにBAD SAMURAIは、他の二つとは違っていて見せ方もうまいし、甘ったるい夢も全然なかったので共感しまくりであった。よく似た話のようで、スタンスはまったく逆。おかしなルサンチマンもなくて、馬鹿だけど面接行ったり煮込み料理作ったり、必死で生きようと頑張ってる感じも出ていて応援したい気持ちになる。他二作は落ちこぼれた理由を全部社会や周囲のせいにして、自分は小指を動かす程度の努力さえしようともせずいじけにいじけ、結局妄想から作られた美少女で童貞を捨てるという夢に逃げ込んだ凡作(だと思った。すまんな)。

死ぬほどけなしたけど、最後の最後でいい作品に出会えて感動した。「さいなら、BAD SAMURAI」観れただけでも最後まで残ってて良かったと思いました。これが賞を獲ると確信しています。これがとれないなんて嘘だぜ! 監督のファンになっちゃいそうだけど、正直続編……というか普通の劇映画がこのシトに撮れるのか、はたしてその実力があるのか?という部分に関しては、もう少し時間をかけて見守らせて頂きたいな、と思う。心から応援してます!!

なんかかなりディスっちゃったけど、ここはそういうのが人気なブログなんで関係各者様、失礼がありましたらこの場でお詫びいたします。こういう辛口も批評なのだ。作品は批評されて深みが増してゆく。おれのようなぼんくらにけなされた程度まったく気にしないでほしい。もし、けしからん!ということがあれば即座に記事を削除いたしますので遠慮なく仰ってくださいm(_ _)m

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