カナザワ映画祭ー爆音 プライベートライアン

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これはすごい!
耳が死んだ(笑)
いつだったか、ブラックメタルバンドのライブのときにスピーカーのすぐ隣で4時間ぐらい首をブンブンぶん回していたら耳が聴こえなくなったということがあった。おれはそのとき、労災病院にまで行ってステロイド漬けにされてからくも入院せずに済んだのだが、そのときの古傷の右耳がちょっとまた聴こえなくなったぐらい、爆音オマハビーチはすごい音響でした。


プライベートライアンは、もう20年近く前の戦争映画だが、その革命的な戦闘シーンの描写は、現在も多くの戦争映画に影響を与え続けている。

ストーリー自体は男たちの友情、理不尽な現実、祖父たちの勇敢さなどをテーマに据えた古典的なプロットだが、アクションが半端ない本気度なので、基本的には文句しか言えずケチしかつけられないというタチの、多くの軍事マニアの大絶賛を受けた例外的な作品だ。

しかし、あまりにもアメリカ軍をクリーンに描きまくり、その象徴たる誇り高いプロの軍人、ミラー中隊長が正しくあろうとするあまりどんどん部下を死なせるなどと、わりとストレスフルな展開である。何度みてもアパムはムカつくし、小銃一挺で武器持った5、6人ぐらいのドイツ兵をホールドアップさせるくだりはそりゃないだろう!と極東から抗議の一つでも送りたくなる。何度みてもおかしなシーンだ。

やたら弱くて命乞いするドイツ兵が多かったり、ネオナチ批判なのかスキンヘッドのドイツ兵がいたりするなど、政治宣伝臭さも漂い、中盤以降のご都合主義に満ちた展開が批判を受けることも多い。オマハビーチのシーンしか観ないと公言する人が多いのはこのせいだ。

しかし、それゆえに戦争映画が内包する良きも悪しきもこれ一本でひと通り体感できる、本当に教科書のような戦争映画で、序盤の戦闘シーン以外でも見所の多い映画だ。

爆音が売りのカナザワ映画祭としては、「ブラックホークダウン」や「ユーボート」と並び、当初から爆音向けと思われていた一作だ。今回は、いってしまえばこれ一本観れれば満足だった。これが朝一番の上映だったから、前日の夜からスタンバッていたし、おれはこれさえ観れたから本当に心から満足した。プライベートライアン自体はこれまでに100回は観たけど、劇場で観たことはなかったんで、本当に楽しみにしていたのである。

耳が壊れそうなほどの爆音上映は、はっきりいってユーザーにとっては痛苦に満ちた最悪の環境で、劇中の兵士たちと等しく砲弾の炸裂音に耳を塞ぐという体験を強いられるわけで、臨場感という意味ではこれ以上望めないほどであった。

主催側は客の耳を潰しにかかっていたかのようだった。そのサディスティックかつ硬派な運営スタイルは、今年で終わらせるにはあまりに惜しい(カナザワ映画祭は今年で終わり、とのこと)。戦争映画を常連シリーズにして、もっともっとマニアックな作品にも手を出していって欲しかった。それを思うと物悲しく、涙が出そうになったが、後半、歩兵の群れにぶっ込まれる仰角零度の20ミリ機関砲に涙もひっこむ、苦しくも気持ちの良い映画体験でした。

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