鬼はさまよう

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「殺人の追憶」のキム・サンギョン主演。

「殺人の追憶」といえばワタクシの最も好きな韓国映画の一つだ。デヴィッド・フィンチャーの「セブン」に影響されつつも独自の形に取り込んだ傑作だ。

これは上記作品の正当なフォロワーといっていいような映画。アレとは対照的に異常殺人犯はわりと早い段階で逮捕されてしまう。しかし、この変態に十人以上の婦女子が殺され、主人公のデカの妹もその犠牲に。妹の遺体をどこに埋めたのか決して吐かない犯人だが、ただ吐かないだけではなくにたにた笑うのみで終始挑発的だ。死刑判決を食らってもなお体を鍛えるのみで何も話さず。

韓国の死刑制度は2016年現在凍結されており、97年を最後に誰一人執行されていない。三年経ってものうのうと税金で生き続ける犯人に、殺された妹の夫、キム・サンギョンの義理の弟が復讐しようとする話。非常に暗い。

犯罪被害者の心の苦しみに全面的に寄り添った真面目な映画で、単なる娯楽映画ではない感じだ。しんみりとしながら思わず韓国の死刑制度についてググってしまった。

見所は犯人役の異常な演技。憎たらしいにたにた顔で、ターミネーター級の肉体を持ち、平気で女子供を拷問して殺す。

こんな異常者にいきなり家族を殺された者たちの、まさに韓国「恨」の演技の真骨頂というやつかもしれん。ひたすらウェットではあるが、絵作りや演技力、様々な俳優を幅広く使うしがらみの少なさは日本映画にはないクオリティだ。ラストはまさに「セブン」のような終わり方で、最悪の後味を残す。暗い気持ちにしかならない映画だが、「イースタン・プロミス」のヴィゴ・モーテンセンのような風呂場での全裸格闘シーンなど見所豊富。パクりだとは思うが、韓国ノワールの異常性がうまく取りこまれていて本家に勝るとも劣らぬ迫力。死にかけの松岡修造のようなキム・サンギョンの顔の演技も見どころだ。

なんとなく、「おお、おもしろそうじゃん」と思ったら、キッチリとそれなりの映画を見せてくれる韓国ノワールの安定感はすごいものがありますな、、、今後も目が離せません。

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