残酷戦場写真館50 偽写真の世界

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この二つは両方とも偽写真である。けっこう有名で昔から出回っているが、いまだに「東部戦線のドイツ兵の残酷な場面」として紹介されることが多い写真だ。正直言ってレベルの低い合成写真で、多分素人のイタズラなんじゃないだろうか。東部戦線のドイツ兵が残酷だったことを証明する写真は他にいくつもあり、わざわざ偽造してまで捻出する必要もないはずだし。。。


このほかにも似たような低レベルの合成写真が多数出回っているのが現状。敗戦国は悲惨である。しかし、だからといってこの事実がドイツ政府の人種政策を相対化することにはならない。「ほら!偽写真だろ?だからホロコーストも捏造なんだよ」という使い方も、主にミリオタや極右主義者の間で使用される常套手段だ。

まあ、案外目の当たりにするとショッキングな写真ゆえに騙されてしまいがち。気をつけたい。。実は私もこのシリーズを作るにあたって何度も騙されている。。。

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これまたショッキングな写真だ。1915年のアルメニア人虐殺の場面を描いたとされる写真だ。トルコ政府の役人がパンを見せびらかしている。アルメニアの子供たちがパンを食べたいと手を伸ばしている・・・というのだが、これは偽造写真の可能性が指摘されている。具体的にどういう舞台裏があるのかはよく知らないが、基本的にあまりによく撮れている写真はフェイクを疑うべきなのだ。

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上の写真は1919年にドイツ南部のバイエルン州で、バイエルン・レーテ共和国というものが一時的に旗揚げをしたのだが、すぐに軍によって鎮圧されて崩壊した。その時の写真と思われる。ロシア革命、ドイツ革命が立て続けに起こったばかりのこの時期、ドイツでは社会主義革命の危機は切迫した脅威としてそこにあった。

まあ、この銃殺されようとしている青年、詳細は不明だが威風堂々としていて素敵である。映画の一場面のようである。ひょっとして偽写真じゃないか? と私も疑った。するとどうにもこうにもこれもやらせ写真の可能性が高そうである。不自然な点がいくつもあるし、だいたい処刑される者が縛られていないのはおかしいと思われるし、処刑される者が着る衣装としてはスタイリッシュすぎるのではないだろうか? というわけでこれは有名な写真だが偽物疑惑を指摘されている。

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これは南京戦当時撮られたとされるとても有名な偽写真だ。国民党政府の情報戦の一環として撮られた写真である。赤ちゃんは実際は一人ぼっちではなく、撮影クルーがすぐそばにいる。偽写真は簡単に取れてしまう。都市の廃墟を背景に泣きわめく赤ちゃん。。。よくできすぎている構図は偽写真を疑わなければならない。。でも難しい。。。

ちなみにここから下二枚は、米国wikipediaにも「Nanking Massacre」として紹介されている、少なくともアメリカや中国では本物だとされている写真。

Horrible_death,_Nanking_Massacre

娘を日本兵に強姦されたうえ殺され、立ちすくむ老婆

Nanking_bodies_1937

秦川のほとりで死体の山をバックに立ちすくむ将校

これはいずれも合成っぽくはないし、少なくとも偽造写真ではないと思われる。しかし、本当に「Nanking Massacre」の時の写真なのか、という判断は非常に難しい。誰がいつ何のために撮影したのか、という情報なくして「絵」だけで判断することは不可能なのだ。

つまり、素人に判断は不可能だ。おいそれと口を出すべきではないのかもしれない。。

参考

http://groong.usc.edu/orig/ak-20100222.html

http://rarehistoricalphotos.com/execution-german-communist-munich-1919/

https://tamagawaboat.wordpress.com/2007/01/09/photos-of-nanking-massacre/

https://en.wikipedia.org/wiki/Nanking_Massacre

★後記

さて、今回でこのシリーズも50回を迎えた。今回の特集に見るように、戦場写真はプロパガンダにしょっちゅう利用され、真偽の鑑定は至難を極める。今回で更新は一区切りとし、また良い信頼できそうなネタが集まったら100回を目指してがんばりたい。ひとまず今回が最終回。誤った情報を見つけたら遠慮なくたれこんでいただきたい。では、さやうなら

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