シュナの旅 思い出深い作品

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嘘だろ? と思われるかもしれないが、おれは子供のころから「風の谷のナウシカ」が好きであった。特にナウシカのきゃわいさと巨神兵のド迫力に魂を抜かれた口である。だがクソのような田舎小学校にいた時、なんか知らないが「ナウシカが好き」とは言い難いものがあった。なんかそういうことを公言するといじめられる危険があったのである。アニメ好きやオタクは子供のころから粛清の対象で、無秩序な赤色テロルに晒される危険があったので、随分長いことナウシカがお気に入りということを隠していた。

中学生になった頃、ナウシカのアニメを見ていて、なんだか中学生にもなって何度も観るアニメじゃないかもなあ、などとおれは冷めた目線を養っていたのだが、その頃ナウシカに漫画があるということを知った。なんでかというと、兄も秘かにナウシカのファンで、漫画をどこからともなく入手してきて読んでいたので、おれもそのおこぼれにあずかったわけである。にもかかわらず、兄弟でナウシカのことについて語ることはほとんどなかった。しかしコミックの第七巻で、ナウシカが遂に完結した時、七巻を買ってきたのはおれだったんだけど「終わったの? ああ、ついに終わったか。意味わかった? 意味わからんやったやろ?」と兄が訊いてきたのは覚えている。おれは「うん、全然意味わからんやった」と答えたのも覚えている。

漫画版ナウシカはコミックは年に一冊、悪ければ数年休載することも珍しくない、当時は「ベルセルク」並みの未完候補漫画だったのである。しかし、アニメ版の公開が1984年で、その続編なんかスピンオフも含め、ただの一作も発表されていない中、漫画が完結したのは1997年(ごろ)で、今思えば「ナウシカもわりと最近まで連載してたんだよなあ」などと感慨しきりである。まあ最近と言っても20年ぐらい前だが。

ナウシカのラストは優生学に対する批判なのか、自然環境をテクノロジーで歪ませることに対する不満なのか、今でもなんだかよくわからない。ナウシカは人類を滅ぼしてしまったんだーと言ってる人もいるが、それはちょっと違うだろう。プログラムの暴走を実力行使で防いだという解釈でいいのでは? と思うのだが、いかがだろうか。ナウシカは博愛主義者のようでいて、理想のためにはテロルもいとわぬというマキャベリストな側面もあり、トルメキア王に最後には「慈悲と破壊の混沌やで!」気に入られていた。ただの巨乳のオボコ娘じゃないんだよ!(つうかアニメ版はデカいのに漫画版は小さいよな)

まあ、それはいいのだが、ナウシカの関連作として、よく似たのに「もののけ姫」というのがあると思うんですけど、おれはアレも映画館で男同士で観に行ったけどね。高校生の頃に。なぜかやはり表立って面白いといえない雰囲気があったので黙っていたのだが、本当は「けっこうおもしろいなあ」などと思ったものであった。しかし漫画版のナウシカほどの渋い雰囲気はやはりアニメでは感じられなかったと思っている。ナウシカの世界観は白黒モノクロ灰色の色なしの漫画がぴったりだったなあ、と今でもそう思っている。超根暗な荒廃した物語だったからなあ。人種差別や階級差別が平然と描かれていたし、無差別爆撃の恐怖や住民虐殺や生物兵器までリアルに描いていた。

というか、ナウシカはアニメ版ではいまいちテーマに出てこなかったが、確実にテーマは戦争の恐怖である。トルメキア王国とドルク帝国(だったっけ?)の犬も食わぬような総力戦で人々が死にまくるワールドダウンフォールな絶望の世界の中を、一人がんばる女の子の話しという感じだ。何をどう頑張ったのか、20年経った今でもよくわかっていないが、今でも年に一度は読み返す漫画である。

ナウシカの舞台が、独ソ戦をモデルにしているのか、イランイラク戦争をモデルにしているのかは議論が分かれるだろう。つうか、イランイラク戦争だと主張しているのはおれだけかもしれないがドルクは当時の革命政権支配下の狂信独裁体制のイランにそっくりだと思うし、トルメキアは汎アラブ主義独裁を掲げたバアス党を率いるフセインのイラクによく似ていると思う。ナウシカが連載され始めた時代的にも、イランイラク戦争はばっちりかぶっているので、駿たんが影響を受けた可能性はあると思っている。まあ、駿たんはオットー・カリウスのファンらしくて、ドイツの戦車に目がない人でもあるから、独ソ戦の要素もあるとは思うが、非人道的な兵器(=生体兵器)が文明を滅ぼすという構図は、イランイラク戦争で神経ガスや糜爛剤を使用したフセインを連想させるし、やっぱりおれはイランイラク戦争に一票を投じたい。

投じたい。ってそんなもんどうでもいいだろう、、、「シュナの旅」の話をしろよと思っているだろうが、うるせえなこのやろ~。これでいいんだよ~。「シュナの旅」はナウシカやもののけ姫のプロトタイプ的な短編なんで、この辺の話をするのは別に間違っていないはずである。

おれが最近書いた小説は、赤色テロルに苦しめられる農村地帯の話しだったんだけど、少年が荒廃した土地で食べ物を探すという筋書きで、なんだか「シュナの旅」に似ちまったなあ、というのは感じている。もちろん私ごときがうまくパクれているわけでもなく、知らず知らずのうちに影響されて自然と似てしまったというやつかもしれないが、「シュナの旅」にも飢餓と人肉食のシーンがあるし、荒んだ世界で荒んだ人心を描いた作品であるから、けっこう大人びた内容だよなあ、今見ても。チベットの昔ばなしを下敷きにした物語なんだそうだが、駿たんは確か左翼だったと思うのだが、チベットを侵略した中国共産党政権についてどう思うのか聞いてみたいですな。つうか集団農場とかどうよ?とか聞いてみてえわ。

そんなことはどうでもいいが、ナウシカともののけ姫の原型のような短い絵本だが、おもしろいのでオススメします。久しぶりに本棚から引っ張り出して熟読しちゃったけど、いっつもシュナが海を渡る辺りで読むのをやめてしまうので、今回はこのレビュー書くために三回ぐらい寝ながらもなんとか全部読んだが、これは漫画版ナウシカの「シュワの墓所」の原型なんじゃないかなあ、、、と思ったが、何度読んでもなにしてるのかよくわからないシーンである。

まあ、よくわかんなくてもそれなりに楽しめると思うんで、とりあえず読んでみてよ(笑)。

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