ブラッドランド ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実

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筑摩書房の「ブラッドランド」を記事にまとめてみたが、あまりにも膨大な文字数になってしまったので、もっと読みやすく調整して、使えそうならどこかで使おう思っているが、いまのところ見合わせている。

この本は30か国で刊行された全米ベストセラーだが、ブラッドランドという概念は日本人には理解不能だろうなあ、と思う。


おれはといえば、独ソ戦史が好きで、長年、ドイツとロシアにはさまれちゃった国々の不幸な歴史に圧倒されてばかりだった。バルト諸国、ウクライナ、ベラルーシ、ポーランド、バルカン半島の国々、ルーマニア、フィンランド、西部ソ連地区・・・などなど

・バルト諸国は1940年にソヴィエトに併合されると、NKVDが大挙して押し寄せてきて指導者層を大量に銃殺、或いは追放。独ソ戦が始まるとドイツ軍に占領されて、共産党員やユダヤ人の大量銃殺が繰り返される。

・ポーランドは、モロトフ=リッベントロップ協定で、ソ連に併合された東部地域でNKVDが暗躍。10万の市民が逮捕され、8000人が銃殺される。のちに拘禁されていたポーランド軍将校25000人が銃殺され、その家族30万人が追放される。ドイツ軍が侵攻するとドイツ兵はポーランド人を迫害し、45000人を殺害。「ABアクション」の名の下にナチス親衛隊の特殊部隊がポーランドの指導層を大量銃殺。独ソ双方のテロにより20万人が死亡、100万人が祖国を追われた。またホロコーストでは最も過酷な被害を受け、ポーランド全ユダヤ人の90%に及ぶ300万人が銃やガスや飢餓や疫病や強制労働によって殺害される。

・ベラルーシでは、独ソのパルチザン戦が最高潮に達した場所で、市民が戦闘に巻き込まれて、国民の4分の1が死亡。

・ウクライナはブラッドランドの中でも最も過酷な場所で、戦前にはソ連の人為的飢餓政策により少なくとも500万人の農民が餓死させられたうえ、大粛清では国中のポーランド系住民が大量銃殺される。しかも独ソ戦では主戦場となり、戦闘に巻き込まれたりホロコーストによって数え切れないほどの人々が銃やガスによって殺され、戦後はNKVDによって数百万人のウクライナ人が祖国から追放された。ウクライナがロシアを嫌うのは当然ということをわかってほしい。

・西部ソ連地区では大粛清によって国境付近の住民はのきなみ強制退去やグラーグ送り、銃殺刑とされ、独ソ戦が始まるとすぐにドイツ軍がやってきて、ナチス親衛隊の移動抹殺部隊が100万人を銃殺。ドイツ国防軍の捕虜収容所ではソ連兵の全捕虜の約6割に当たる310万人が銃や人為的飢餓や疫病によって殺害された。戦間期には、NKVDによって対独協力の恐れがあるとされたチェチェン人やカフカス人などの少数民族が全て故国から東の果てに追放された。
レニングラード包囲戦では、「東方総合計画」に基づき、都市を完全に破壊して冬の寒さに晒して市民を全員餓死させた上でフィンランドに引き渡す計画であった。ドイツ北方軍集団による900日間の包囲戦により100万人の市民が餓死、或いは揺るぎ無く健在だったNKVDによって銃殺された。酷すぎる。

12年間で犠牲者は1400万。これは戦闘による戦死者は含まれていない。しかも未解明な数字は含まない。少なく見積もった数字だ。特に大粛清は公式には70万の銃殺刑が行われたが、一体何人が拷問や強制移送の過程において死亡したのか、送られた収容所で何人が死亡したのか未だに明らかでない。

凄い数字である。だからこの本は発売当初からずっと気になっていた一作で、涎をダラダラ垂らしながら楽しく読んだ。おれにとってはホント何もかもが読んでいて興味深い一作。歴史書の金字塔、今世紀発売された歴史系読み物ではもっともオススメしたい二冊(上下なので)だ。

本当にドイツとロシアにはさまれちゃった国々は気の毒である。。。こんなひどい歴史が他にあるだろうか? と言いつつアメリカ大陸やオーストラリアの先住民たちは白系人種にひどい目にあわされて、のきなみ絶滅の憂き目だ。アフリカでは白人が歪めた社会構造のためにいまだに先住民が終わりなき内戦を戦っている。

白系人種の罪は重い。世界の歴史は白系人種がテロと圧政によって築き上げたのである。我々が白人が美しい、白人が優秀だ、白人は文化的だ、、、と思うしかないスタンダードの中に今も生きているのは、全て暴力とテロによって他の文化が排除、或いは抑圧されてきたからである。歴史は銃口から生まれる。これまでは間違いなくそうであった。

有色人種としてロシア帝国と一戦交え、勝てるわけがないと思われていた中、60000の若者を地雷と塹壕と鉄条網と機関銃と榴弾砲の生贄に捧げ、辛くも勝利した日本。日本の近代史は白人のテロから身を守るための戦いと血の歴史である。最後には原子爆弾まで使われてアメリカに大敗を喫したが、ソ連の侵入は辛くも防ぎ、GHQに民族性を破壊されかけるがなんとか自存して今日も平和を保っている。

日本はロシアとアメリカという最も暴力的かつ好戦的な帝国に目をつけられ、戦争し、辛くも自存しているのである。ポーランドがドイツとロシアに挟まれちゃった不幸な国なら、日本はアメリカとロシアに挟まれちゃった不幸な国である。それでも両国は今日において独立国家である。すごいことである。

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