ヒメアノ~ル 残念無念

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hime

古谷実の漫画はなんとなくいつも読んでいる。この漫画もかなり前に読んだと思う。内容は何となくしか思い出せないが、この映画が原作とはけっこうストーリーが異なることぐらいはわかった。ラスト付近はかなり変更が加えられており、これは結果的には賛否両論だと思うが、悪くはなかった。

ストーリーは最初ご都合主義に満ちている。いい歳して清掃のバイトの童貞小僧が、勝手に女に惚れられて付き合いだす。まあ、これは古谷漫画のいつもの流れで、なんでこんなことをするのかは不思議だが、その幸せな初々しいカップルが能天気にセックスばかりしていたら、日常の影で異常な事態が進行して行くという不穏なお話だ。具体的には彼女をストーキングしているビョーキ野郎が、この二人のカップルを殺そうと付け狙うのである。

幸せであればあるほど不安も大きくなるものだ。それを失う不安に苛まれる。意気地も行動力もない童貞男に、勝手にアイドルみたいなかわいい子が惚れてくれるという幸運の後には、必ずしっぺ返しのように不幸が待っている。ギャスパー・ノエの映画じゃないが、

人生には魔がさす瞬間が不意に訪れる

という根源的恐怖だ。

同じ学校の同じクラスで、似たようないじめっ子にいじめられていた似たような趣味を持つ二人。一方にはファンタジー的幸運が訪れ、他方にはひたすら現実の重しが容赦なくのしかかる。無論、言うまでもなく、ファンタジーはファンタジーに過ぎず、殺人鬼の森田君が被る痛苦こそが現実。賢明な観客はそのことにすぐ気が付くだろう。現実がファンタジーをぶち壊すためにつけ狙うお話だ。文字通りバットをぶん回して。現代文学ともいえるようなお話。負け犬のおれに、この毒は甘美で辛い。

原作は森田君はパッとした活躍もなく、現実はファンタジーに大敗を喫する。しかしこの映画は実に惜しい。もう少しでファンタジーをファックして絞め殺すことができそうなところまで追いつめる……。しかし、、、

残念無念の結末だ。きっちり始末してほしかった。しかし、この悔しさ、、無念さはどうか。本気で森田君を応援していたからこそ悔しい。このクソな世の中で痛めつけられた森田君は、この二人に報復する権利があったはずである。殺人のシーンはとても爽快で、森田君がうけるひどいいじめはひたすら胸が悪い。ああいう似たような拷問プログラムは全国の学校で普通に行われているだろう。その救われぬ魂を救済するには結局暴力しかない。それすら禁止されたらもう死ぬしかない。それほどまでにカップル二人のいちゃつきぶりは胸が悪く腹立たしい。

童貞小僧が勝手に惚れられて、その辺はもちろんファンタジーなのだが、彼女はけっこうなヤリマン。まあ、普通の健康な男女だし、結局セックスばっかりやってるところもすごくリアルで、もうほんっとぶっ殺してほしかった。童貞小僧が彼女の過去のセックス履歴に嫉妬するところなども異常にリアル。見ていてムカムカする。もう少しで手が届いたのに、残念無念だ。

この世はクソで不平等で素晴らしくなく、戦う価値もない。

おれが脚本家なら、森田君がキッチリ二人をこれ以上ないぐらい惨たらしく虐殺し、人間はちゃんと平等なんだという夢と希望のあるお話にするよ。

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