書評-ディファイアンス

シェアする

これはダニエル・クレイグ主演で映画化されている。

映画を観たのが先で、映画の内容がイマイチ頭に入ってこなかったというか、少しなじみの薄い素材のように感じたので、原作を読んでからレビューを書いた方がいいのかなあ、などと思い、本を買って読まずに積んで早三年。。。映画レビューもできないまま無為に時間だけが過ぎていった形だ。ここまで映画の感想文をかくだけなのに、手を焼かされた記憶はあまりない。


というのも、この本、、とても読みにくい本なのだ。。何度断念したかわからないが、とにかくこれを読破するのはかなり大変だったと言っておきたい。映画の原作ということで、おれもこれを小説の延長のようなものだと考えていたわけで、これがそもそもの間違い。おれも常日頃からナチはサブカルに非ず、戦争はガンダムに非ずと言い聞かせていたにもかかわらず、どうにも映画の原作なんだからエンタメ小説みたいなものなんでしょ?と舐めてかかっていたことは間違いない。

これは実在したビエルスキ隊という名のユダヤ人ゲリラの記録であり、決して物語ではないのだ。
とまあ、ここまで弁護すれば十分だろうか?早い話がこの書物は読んでいても全然おもしろくない。内容もさることながら、書き方、或いは訳し方に問題があるのかもしれない。とにかく読んでいてもエキサイティングなところはほぼなしである。これからこの本を手に取る方は覚悟してほしい。

特にドイツ軍ファンとか、ミリタリー趣味や戦史の目線でこの本を読もうとすると断念するのは確実だ。そういうことは書かれていないからである。

この本で書かれているのは、当時のベラルーシにおけるナチの反ユダヤ政策のまとまりに欠ける断片的情報がごくわずか、あと圧倒的に多いのはビエルスキ隊というユダヤ人ゲリラのリーダー格として存在していたビエルスキ三兄弟とその家族、恋人、部下などの人生の詳細である。誰と誰がいつ頃出会って結婚したとかなんとか。。離婚したとかなんとか。。正直そんなもんに興味あるか?まあ興味ある人もいるだろうが、その内容も淡々とできごとを書くのみで読みやすく編集されているわけでも、物語化されているわけでも、華々しい戦果に満ちた記録というのでもない。はっきり言えば逃げ回っていただけ。逃げ回りながらパルチザンを自称し農民から食料を略奪する様子や、隊内の規律の引き締めや内ゲバなど、はっきり言って大して興味のないエピソードが多数綴られており、しかも上記のようにそれが面白い物語として編集されているわけでもない。ただ淡々とぶっきらぼうに事実が時系列に並べられているだけ。その事実もほとんどソースは当事者たちのインタビューで、どこまで信憑性があるのかも謎である。

唯一、おもしろいのは、当時のベラルーシが様々なパルチザン勢力によって群雄割拠の状態にあり、地元の農民はナチにつけばパルチザンに粛清され、パルチザンに協力すればナチに逮捕される状況にあり、どちらについても食料を奪われるという最悪の状況にあったということである。その辺のエピソードは細かく記されている。お百姓さんは大変だ。

パルチザンと言っても野盗やごろつきの類と大差なく、かと言ってナチに従えばドイツに拉致されたり警察に召集されて汚れ仕事をやらされたりと、ろくな目にあわない。ベラルーシの民はまさにロシアとドイツの板挟みの中でサバイバルをせねばならなかったわけである。これは想像以上に過酷な状況で、両陣営からの暴力に晒され続けたベラルーシは大戦中に人口の3分の1から2分の1を失っている。ポルポト政権のカンボジアも真っ青である。

もっとも、この本はベラルーシの各ゲットーから逃れてきたユダヤ人を、たとえ非戦闘員でも救うことに心血を注いだ男が主人公で、森の中で非戦闘員をたくさん抱えてサバイバルするのはかなり大変だったであろう。そういう苦労話を読みたい人向けだ。映画のラストで戦車と戦うシーンがあるがあれは創作である。あんな創作をしなければならないほどに地味なゲリラ活動だったともいえる。現実は英雄譚とは程遠い地味でつまらない日々だったに違いない。この本があまりに刺激に欠けることも事実で、アマゾンのカス××ーレビューにもただの一件の投稿もないことが全てを物語っている。(2016年1月現在)

かなり難航したが、ソビエトパルチザンのベラルーシにおける活動に急に興味が出たので、しっかり読んだが、かなり苦痛であった。これをすんなり読破できる人はすごいというしかない。全然お勧めしないが興味がある人は手に取ってみてください。

↑↑
なにか一言メッセージでも残して行ってください