理想の家庭

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毎日朝起きてNHKの天気予報を観るのが日課なのだが、天気予報の直前6時45分ぐらいになると「まちかど情報室」なるコーナーを毎日毎日律儀にやっており、おれは朝のボケた頭でトーストをかじりながらそれを観ているのだが、毎日毎日思うことがある。


この番組はつまり生活に密着した便利グッズを紹介するコーナーである。しかしNHKも公共放送であるから企業のコマーシャルを露骨にやるわけにもいかんらしい。商品名も会社名もどこで売っているかさえまったく明示しないため単なるブルジョワ家庭の自慢コーナーと化してしまっておる。ムカムカ来る番組である。

ブルジョワ家庭と書いたが、まさに言葉の通りで、ものすごく金持ってそうな上品な奥様が可愛くて小さな子供と便利グッズでオムレツ作ったりする姿を見せつけられ、「これなら食べず嫌いのまあ君も食べてくれます」「おいし~い!」などと言った様子を延々みせられる地獄番組だ。朝から死にたくなる。

で、これが毎日毎日こんな様子で、若奥様と小さな子供のコンボ、或いは金持ってそうな熟年夫婦など、いわゆる理想的な家庭の幸せな毎日の断片が示される。なぜかムカつく。なんで金持ちとわかるかって?そんなもん家の中見ればすぐわかるわ。オシャレなインテリア、家具、壁紙、テーブルクロス、広いキッチン、大きな冷蔵庫、そしてそのような無駄な便利グッズに金を投資してNHKに応募までする生活のゆとり。調べるまでもない。

なんでムカつくのだろうか。
なぜ統合失調症の独居老人や、引きこもりを抱える病んだ家庭や、シングルマザーやホモの同棲カップルや朝鮮人が出てこないのだろうか。毎日毎日やっていて取材対象が無作為だというなら出てきたって不思議ではないし、ゴミ屋敷に住むぼけ老人とか歯並びの悪い大阪のおばちゃんが出てきたっておかしくないはずなのに、いつもいつもピョンヤンの高級マンションに住まう党員関係の特権階級ばかりが登場する。この国の理想をしょって立つエリートばかりが。棄民階層は見て見ぬふり。例え応募があっても全部無視。相手にしていないから登場しないのである。違うとは言えないはずだ。

本当に便利グッズを紹介することが目的なら、統合失調症患者の震え防止ペンシルとか、認知症独居老人のお薬飲み忘れ防止ボックスとか、引きこもりドー×ー青年の便利オナホールとか、ゴミ屋敷住人のなんでも吸いこむ掃除機とか、ホームレスのあたたかい新聞紙とかどうして紹介しないのだろうか。え?そんなもんないから?いや、まあ確かにそうだが、便利グッズを持った被差別階層もいるはずである。なぜシカとするのだろうか。臭いものには蓋したってネットで全部蓋の裏側まで舐め尽くす勢いで情報があふれているのに。今更何をやっているんだか。。

昔、「スラムダンク」という漫画がジャンプでやってたんですけど、クソ生意気なヤンキーが女目当てにバスケを始めるんですけどね。性格は豪快で怖いもの知らずで、しかもバスケの才能もあったようでメキメキ頭角を現すんですよ。で、一年でありながらどっかの試合の途中でいきなり実戦投入されちゃうの。「よーしこの天才に任せろ!」と不敵に笑う桜木花道だったが、その影では一年坊に道を譲らされた名もなき3年生がいたわけである。名前もなければ顔もなし。NHKと同じ。存在すら無視されていなかったも同然の扱い。しかし確実にいたのである。おれはそこで交代させられた元レギュラーを偲んで哭いた。普通なら花道の活躍に胸をワクワクさせるところに違いない。おれはそういう人間なのである。自分がダメな人生を歩んでいるからダメな人生に共感してしまうのだ。

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