恋の渦

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これは近年まれにみるほど感動した、、というか素晴らしい日本映画だ。キャストがほぼ無名なのが良かったのかもしれない。無名かもしれないがこの映画に登場する役者はマジでプロ根性の塊であるなあ、、、と顎を限界まで下におろしてあんぐりとしてしまった。マジにすごすぎる。。。つうかこの映画、出演してしまった役者たちはこの先仕事あるのだろうか、、、?いや、あるだろうとは思うが、ちょっとリアルすぎるんじゃねえか、、?製作者にうまいこと乗せられちゃったのでは、、?

だってこれ演技というより素だろう。。。よくここまでこやつらの素を引き出したな!監督とかその辺の人たちマジやりち~ん。。。こんなすごいの初めて観たよ~。。。

ストーリーはとあるショボい宅コンで集ったすごく頭の悪そうな階層の男女複数名。9人?だったか。普通9人もいたら一人一人のキャラはかすむと思うのだが、これはけっこう一人一人しっかり主張しており、しかも自然である。9人も適齢期の男女が集まれば色恋沙汰はごく普通の健康的なアレコレとして発生すると思うが、要はその恋愛模様を描いただけの映画。こう書くとクソ映画臭がプンプンするのだが、これは気取ってないしかっこつけてないところがいい。薄汚れきっており、性格も歪みに歪んでおり、悪魔さえ目を背けるような汚い営みが超テンポよく展開されるが、センスもいいし、かなりよくできていると思ってしまった。

アシュラという漫画で、飢えに飢えて自分の母親を食ってしまった少年が、平気でむしゃむしゃ人を喰うアシュラ少年を見て、「お前を見ていると、、、自分自身を、、、自分の『悪』を、、、!」という台詞があったと記憶しているが、もうおれはあの子のシけた泣き顔が大画面で脳内をフラッシュバックし、罪悪感と自己嫌悪で倉庫から電ノコ持ってきてケ×出して爆走してしまった。この9人の中にきっとあなたに似た『悪』を持った登場人物がいるはずである。すごすぎるので少しだけ紹介すると、

・女の浮気は絶対許さないくせに自分は平気で浮気する奴。
・女の些細な部分にいきなりブチ切れて延々ながなが説教する奴。しかもしつこい。しかもまともな職もない。
・セッ×スする前はめちゃ優しいのにその後は恫喝と威嚇で女を支配下に置こうとする奴。で、女が逃げようとすると泣き喚く。
・とっくにフラれているにも関わらず、相手の気持ちがわからず何度何度も電話しては「つながらねえつながらねえ」ばっかり言ってる奴。しかも毎回留守録つき。
・彼女とかいらね~~風俗が楽~~とか言ってデリヘルを呼んでばかりいる奴。しかし本音では誰でもいいから彼女が欲しい。

おれは男だから自然と男にムカついてしまったが例を挙げるとこんな感じである。しかも俳優のツラが超中途半端で、イケメンがいないとは言わないが、インディーズ映画らしい顔ぶれで、なじみがない分とても入っていきやすかった。マジで渋谷のユーロスペース前のホテル街とかでたむろしていそうな顔ぶれ。リアルすぎる。。。

いや、ちょっと待って。。。これクズじゃん。。。おれには無関係だし~~と思っているかもしれないが、そんなことはない!そんなこと言ってる奴ほど危ないぞ!虐待なんかしないし~。そんなこと言ってる奴ほど危ない!というのに似ている(笑)。まあとりあえずおれとしてもこれはおれだ、、、おれ自身だ、、、と思える部分がそれぞれの登場人物の中に見つかったので、きっと他の人もそうに違いないと信じたい。

女も一癖二癖ありの曲者ぞろいだが、まあおれとしては今まで実際に見たことある女のテンプレでありながら、メディアや通常の恋愛映画ではポツダム宣言ばりに黙殺される女の醜い部分の見本市という感じで、「脚本書いた奴は女にひどい目にあわされたんやな」と一目でわかる感じである。しかも上記のごとく男のダメな部分ショボい部分も遺憾なく吹き出しまくっていて、両陣営とも極めて昨今の若者をシニカルにしかもうまく捉えているなあ、平等な映画だなあと感動してしまった。男女平等だ。園子音も似たような若者の青春群像劇をよく作るが、アレみたくドー×ー臭くないところが良いと思う。園子音はとにかくドー×ー臭いのでうんざりしてしまう。

実は「モテキ」の映画版を観た時に、不覚にもけっこう面白いと思ってしまったので、同監督と聞いてなかなかの実力派なんだなあ、と自信を持ってオススメしたい映画である。情報によれば「モテキ」はドラマ版もおもしろくてドロドロしていると聞いたので近々チェックしたいと思う。漫画版は人生で一番煮詰まっていたころに読んだせいか全くグッと来なかったのだが、そういう意味では酸いも甘いも経験した大人向けか?しかし、これらの漫画やドラマの登場人物のようにはなりたくねえなあ、と心底思うのは今も同じである。