ジャンゴ 繋がれざる者

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※2013年3月4日日記復旧分

クエンティン・タランティーノの新作、「ジャンゴ、繋がれざる者」を観て来ました。

南北戦争勃発直前のアメリカ”ディープサウス”が舞台のこの映画。監督お得意の過激な人種差別描写がすさまじい映画である。

イングロの時は、ユダヤ人がナチスドイツのクソッタレ差別主義野郎どもを奴らお得意の暴力で木っ端微塵に粉砕するという”劇”をやってくれたが、今回は奴隷の黒人が差別主義者のカントリーな髭はやした白人どもから愛する人を取り戻す。暴力で。という話である。二作は似たテーマであるといえよう。

イングロでナチス親衛隊、それも保安部(SD=ジッヒャーハイツディーンスト)の高級将校を演じたクリストフ・ヴァルツ。その超人的な悪のカリスマは記憶に新しい。しかし今回は全く逆の役柄で、黒人奴隷ジャンゴを自由に解き放ち、その妻の救出にまで力を貸す仁義に厚いドイツ人賞金稼ぎを演じている。ドクター・キング・シュルツ。馬はフリッツ。

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悪く言えばランダ大佐の焼き直しキャラだが・・

このドイツ人と黒人の奇妙な賞金稼ぎのコンビが、悪い白人帝国、ミシシッピの農場に囚われているという妻を救うために命をかける、熱い西部劇である。

ドクトル・シュルツはジャンゴの師となって数々の殺しのテクニックを仕込み、自らの相棒と育て上げて行き、ジャンゴはなんだかよくわからないままシュルツを慕い、良き相棒へと成長していく。

妻の”ブルームヒルダ”が囚われてるというミシシッピは奴隷貿易でも最悪の中心地で、最も黒人差別が過激な人類の闇の歴史の集約地だった。その奴隷の搾取によって利益を得る最悪のレイシストの農場主キャンディのもとに妻はいる。この情報をつかんだ二人は妻を取り戻すために偽の取引をキャンディにもちかけるが…

全く恐ろしい映画で、”差別”というものがちょっと掲示板で悪口書かれるぐらいでは済まないものであったことを、強烈に記憶の押入れから引き摺り出してくれる。まあ掲示板で悪口いうのも立派なレイシズムだし胸がムカつくが、この映画の中の黒人みたいに死ぬまで殺し合わされたり、犬に食い殺されたり、監禁されて蒸し焼きの刑にされたり、ナイフで××切り落とされたり、売春させられたり、女が人前で裸にされたり…売買証明書とかがあって金で売り買いが合法…そんなハードコアレイシズムを日本は経験したことがないのではないか?そんな差別を受けたこともしたこともないのでは?日本人には想像もつかないその圧倒的“差別力”の前には呆然と立ちすくむしかない。なんでここまで徹底的パーフェクトなモノ扱いなんだ?宗教のせい?この南部の負のパワーはすさまじい。

ナチより悪質だ!
文明国とは思えん!


ポール・バーホーデンの”ブラックブック”というオランダ映画でこんなセリフがあったことをにわかに思い出したのであった。

その農場の暗黒世界っぷり、ものすごいんだよ!ディカプリオが演じるキャンディの悪漢っぷりも映画史に名を刻んだと思う。映画を観て行くうちにこの農場がナチの強制収容所に見えてくるし、ディカプリオがルドルフ・ヘースやエドゥアルト・ロシュマンやアーモン・ゲートにみえてくるぐらいすごいものなのだ。ディカプリオの相棒役の黒人頭スティーブンもサミュエル・L・ジャクソンが怪演しているが、白人よりも模範的なニガースラッシャーで、最低の役柄だったと思うが、ユダヤ人強制収容所で最も恐れられていたのがユダヤ人の囚人頭”カポ”であったことを思い出させてくれた。被差別民だからこそ、より模範的なPERSECUTER=迫害者となろうとする者もいる。人間の善も悪も誠に度し難し。

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最初サミュエル・ジャクソンだとわからなかった・・

さて、そんな映画ではあるが、ドイツ人のシュルツ医師が唯一レイシズムを嫌悪した白人として、唯一の救いとして活躍するんだが、後の南北戦争で北軍側にドイツ系義勇軍がたくさんいたことは史実で、奇妙な描写ではない。だがそんなドイツ人もルワンダなどアフリカでは差別的な植民地政策を実施し、後のユダヤ人支配の模範としたのも史実。誠に人間の歴史の救い難きことよ。涙もでない。

キャンディとスティーブンも奇妙な信頼関係で結ばれており、この悪漢コンビが主人公たちに立ちはだかる最大の敵として描かれている。そのインパクトはものすごい。ディカプリオは素晴らしい演技で、前半客の視線をカツアゲしまくるクリストフ・ヴァルツが霞んでくるほどだ。特に黒人の頭蓋骨を分解しながらハンマー片手に”骨相学”をご教授してくださるところなんて名シーンだと思う。最悪すぎて言葉もない。見事な南部男ぶりであった。

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こいつはイカしてたぜ

ディカプリオは初の悪役と言われているが、それはそうかもしれないがこんなレイシストの役をやるのは初ではない。皆さんご存知のとおり「ブラッドダイアモンド」というすごい映画がありましたね。あそこでもこれに近いレイシストのいけすかない白人のミスター役でした。南アフリカ出身の元傭兵役。あれもすごかった。

というわけでタイタニックのレオ様がここまで俳優として成長するとはあの時は考えもしなかった。今回クリストフ・ヴァルツは助演男優賞を取り、確かに魅力的な素晴らしい演技であったが、今回おれはディカプリオをこの映画のMVPとして推したいと思う。それぐらいすごい演技だった。

まだ語りたいことはあるが長くなったのでこの辺にしよう。オススメの映画です。

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