“隣の家の少女” 少女は嬲られ続けた

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最悪だ!予告編だけで吐き気とともに涙が溢れてきた。この映画だけは、絶対に観ない。
ー25歳男性(フリーター)

スティーブン・キングのコメントと並んでキャッチに使われているこの25歳男性のコメントには大爆笑した(笑)。おれも公開当時かなり興味を持っていたから色々調べていた時、ネット上でこのコメントみたことがあった気がする(笑)。その時も笑ったが、その100%素人の投稿がキャッチで使われてるのみてまた大笑いしたのであった。

まあそんな感じで、一見さん絶対お断り最凶映画である。これほどもう観たくないとウンザリした気持ちになった映画はない。

フランス映画の「マーターズ」とよく似た美しい少女を監禁し拷問虐待し続ける系映画である。まったくゲンナリする。自動小銃や核兵器がなくても自分の家の中が既に戦場なのだから人類は救えない。

原作はジャック・ケッチャムの同名小説で、これまた陰惨な極悪小説だが、これが何故か日本でも十万部売れたらしい。

うわ〜これを映画化するのか。
観たくねえな、、とおれも25歳男性のように陰鬱な気分にもなった。だがエベレストを前にした登山家のような心境か、チャレンジすることとなった。別にこんな映画が好きなわけではないのだが‥

少女が虐待され監禁され拘束され嬲られ続ける‥。たったこれだけのことなのだが、我々はこれをこの地球上で起こる最も残虐な事象であると認知する。やろうと思えば誰にでもできるミニマムな犯罪。そして誰でも被害にあいうる不条理な現実。

1950年台のアメリカ家庭。少年時代の原風景。緑豊かな大地。野山を駆け回る日々。そんな思春期前の悪ガキたちに女という性はミステリアスで好奇心そそられる存在だ。遊び友達の家に居候しているというメグとスーザンという美しい姉妹。

主人公の少年ディヴィッドはメグに恋をし、理由をつけてはメグの家に入り浸るがそこでは陰惨な虐待が行われていた。最初は確かにしつけのように見えたが、徐々にそれは過激さを増してゆく。

こうして行きつくところまで行くサマを延々みさせられる映画である。正直きっつい。せめて安いB級映画のようになっていれば良かったのだが(?)、役者や演出面、脚本など含め高クオリティにまとまっており、話も単純といえば単純だし尺も90分程度。大変みやすい。つまり映画としての完成度は大変に高い。特にメグの叔母役の女性の悪鬼のごとき演技には舌を巻く。その性悪の息子たちも極悪(こんな映画に出演させて大丈夫なの?)。胸がムカムカしてしょうがない。

アメリカ家庭内が孕む様々な病理をたった90分の映画で高次元に表現しているのだから、これは単なる悪趣味なホラー映画ではなく、ミヒャエル・ハネケコーマック・マッカーシーのごとき人の心の闇をついた暗黒文学と呼ぶにふさわしい作品だ。精神衛生上かなり危険を伴うが、我こそはというかたは是非ご覧ください。

そしてこの映画は単にDVや性差別を描いているようにもちょっと見えてしまうのだが、原作はけっこう主役も×××なことをやらかしているし、善悪の物差しやら人間の奥の闇を覗き見るようなゾクゾクとしたスリルを味わえてしまう。まあこの映画は少年の行動に関してもどかしいとしか思えない部分があるのだが、そういう理由なわけである。わけわからんという方は是非原作にも目を通してみてください。残念ながらオススメはできないが。