ブラックメタル的サブカルチャー① デトロイトメタルシティ

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この漫画はかなり知名度があるので知っている方も多いでしょう。作者は全くヘヴィメタルに知見がないそうで、偏見やデマゴーグが多く含まれているため、批判も多い。

しかし十五年来のメタルファンの私にもかなり楽しめた作品である(笑)。

メタルファンの神経を逆なでするような、下ネタまみれの下品なパフォーマンスをするクラウザー二世は、化粧を取ればTwitterにクソポエムを書いてそうな気色の悪いドー×ーゴボウ男。

大分出身の田舎もんで、オシャレでかっこいい雑誌に載るような世界に憧れている。テレビやラジオに出てチヤホヤされたい。周囲から敬意を払われたい。女にもてまくりたい。周囲をひれ伏させたい。

若者ならば皆こういう思いを夢想し、現実を直視せず、会社勤めを軽蔑し、叶うあてもない夢を追う。なにしろ夢を見るのも追うのも素晴らしい昨今ですから。おれはあたしは周囲のどこにでもいる有象無象とは違うんだ!肥大した自意識に振り回されつつ醜く年をとってはじめて気がつく。

自分も皆と同じだったと。あの叶うあてもない夢を、現実を省みずかけずり回った、這いずり回ったあのしょぼい陽の当たらない鬱屈した日々こそが、まるまる自分だったと。あれこそが自分の人生だったと。

悲しい物語でもある。
主人公は自分の好きなオシャレでかっこいい世界でひとかどの人物になりたい。
でも全く才能はない。芽も出ない。現実は一切揺らぐそぶりすら見せない。

自分が唯一才能があるのは、大嫌いなメタルだけ。青年は結局それしかできない。どんなにかっこいい世界に憧れようと、オシャレな世界に目を細めようと、自分が本当に欲しい世界は自分に背を向けたままだ。諦めきれないままメタルをやるしかない。青年にはそれしかできないのだから。

大人になれない青年の成長してるんだか、してないんだかなドタバタコメディである。

この漫画がブラックメタルと関連している部分は、クラウザー二世のバンドDMCは悪魔系デスメタルバンドということである。つまりブラックメタルであろう。

敵バンドにヘルヴェテという名のバンドが登場していることからも、(そのバンドの経歴はデススペルオメガそっくりである)ノルウェーのブラックメタルシーンを参考に物語が作られていることは間違いない。

また主人公の根岸青年は、自分がメジャーな世界に受け入れられない恨みつらみから、クラウザー二世と化してメジャーで成功をおさめた有名人たちを徹底的に叩き潰して回る。雑誌に載るようなモデルだったり、ポップシンガーだったり、パンクスやラッパーだったりもする。

特筆すべきはオシャレ四天王なんて名前のついたいかにもオシャレな経歴の四人組。写真家だったり俳優だったり、夢見がちな若者がよだれたらして羨ましがる職業だ。これらに対し、ひがみ根性100パーセントで徹底的に攻撃し、おちょくって見せるクラウザー二世の姿は動機こそ違えど、実際のブラックメタルシーンに通ずるところがある気もする。

これら反メジャーのさじ加減を作者が狙ってやっているかは不明だが、だとしたら相当な鬼才であると思う。

日本のイタイ若者をこれ以上ないぐらい風刺できている。最高級のギャグ漫画である。

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