理想郷

シェアする


txt[1]

bg03[1]

近畿大学の入学式。最近あったらしい。朝ニュースでみた。

コンサートさながらのド派手な演出。
歌とダンス。
きらびやかな照明。
テンションの高い司会。
レベルの高い構成。

そしてそれらを演出する側に、来年は自分もなれるかもしれないという期待。希望。

「私は、呆然と目の前のコンサートのような入学式を眺めていた。
『固定概念をぶっ壊せ!近大OBつんく♂さんがプロデュース!』

私の傍らの一人の紳士が、私に語りかけてきた。
『なぁ、坊や。君は誇りに思っていいんだぞ。我々は偉大な大学に入学したんだ』

私も、そのように感じた。近大の影響力の増大に、私達は感嘆の念を抱いていた。
私達は、偉大な大学に生きていた。そして、その時代の創造者、その保証人はつんく♂その人であった。」

なんつって。
上のはネタなので気にしないで。

おれが言いたいのはね。
日本の大学という空間。これこそは人類が恋い焦がれた理想郷と呼ぶにふさわしい空間なのである。

気持ち良くて安楽でカッコ良くて華やかで美しくてキレイでうまくて仲が良くてたっぷり眠れる、そんな空間である。

ではその理由を思いつく限り羅列して行こう。

①老人がいない
人間の業は、老病死。大学はこれら苦界から最も遠い世界だ。
そもそも自分が若いし。もともと病気であったという例外を除けば健康問題などどこにもない。周りも同じぐらい若い。同い年だ。先輩っていってもせいぜい1〜3上というだけ。老人をみてきたる苦界へと想いをはせる必要もない。

好きなだけ食って好きなだけ飲んで、タバコもやり放題。健康だとセッ×スも気持ちがいい。恋愛も自由。

血糖値気にしながらビール飲んで動脈硬化気に病みながらタバコかんで風俗行っては勃起しないことをなじられ仕事のストレスで毎日明け方に起きてデパス依存症。そんな悩みは一切ない。黄金時代である。

②金の心配がない
もう大学に来てる時点で金持ちは確定である。奨学金でやっと?苦学生だからバイト?このケ×野郎。シエラレオネとかナイジェリアの青空小学校で同じこと言ってみろ。5歳で体売ってるインドの少女に言ってみろ。おれ金ないんだって。AKでケ×の穴を増やされちまうぞおらー。

親の金で好きなだけ遊んで学んで車乗って。んでバイトでガキの小遣い程度の金稼いで、おれは働いてるから偉いゼ?という顔もできるという。なんとも理想社会である。そもそも金を稼ぐという行為は自尊心を削って嫌な思いに耐えて我慢して、それでも生活のためにやらなきゃならないものである。バイトやっていい気持ちになれるなんて大学生だけである。

③時間が死ぬほどある
自分のために使える時間が無限にある。それでいて金の心配がほとんどいらないという無敵コンボ。死ぬほど眠れる。理想郷である。どんなに焦がれても、大学生以外の者にこのコンボを成立させることはできない。他にできるとしたら死ぬ直前の老人であろう。老人には時間があっても仕方が無い。そうここに若さという要素が加わり、金・時間・若さという脅威の3コンボとなる。これはどんな独裁者であっても手に入れることはできない至高のお宝。これをどんな馬鹿でも無料で手にできる。最強すぎる。

…というところで長くなって来たのでやめるが、まだまだいくらでも死ぬほど出てくると言わねばならない。肝心の勉強もそんな大してしなくていいんだこれが。パソコンのおかげでまともに読み書きできなくても卒業できる。大学は全く最高の理想社会である。ポル・ポトも日本の大学に来ていれば大量虐殺なんかしなかったであろう。まったく因果なことよ。

だが、上のオーストリア併合のパロディだが、“我々は偉大な時代に生きていた。大ドイツ帝国成る!!”

その偉大な時代はたったの7年で終幕の時を迎えた。だがみな人々はこの偉大な時代が1000年続くと思っていたのである。

その点大学は、、
たったの4年で終わることが約束されている。終わったそのあとは…その時こそ現実に帰らねばならない。そのクソまみれのその後の方こそが現実である。はじめから理想郷などありはしなかった。管につながれて寝てただけなのだ。マトリックスみてえに。

理想郷で慣れ親しんだ全てのもの、

健康。
友達。
恋人。
仲間。
睡眠時間。
好きなだけ読める本。
ファッション。
お前が好きだったもの。
興味があったもの。

全部役に立たないガラクタだったと気がつく。夢から覚める。夢から覚めるという以外にこの世界没落感を例える言葉はない。ここからは人生の夏休みは終わり。永遠に冬休みも春休みも来ない。次に静かに眠れる日は、頭がボケた時か死ぬ時だ。

この現実を早めに合点した人間こそ、適応的に人生を有効に活かせる。いつまでも認められず、自分は大学生と大差はない、まだまだ遊んでいたい、自分はまだ子供だ、そうやって逃げ回っていると苦しみが長引く。まったく因果なことよ。