桐島、部活やめるってよ 映画評

シェアする

これまたすごく話題になったのに、どんな映画なのか影すら踏めない感じであった。やたらよく名前だけは聞いたのだが、、ようやく観賞。

これはおれとしてはなかなか気に入った作品だ。大して頭いいわけでもなさそうな高校が舞台。部活に打ち込むやつ、遊びほうけるやつといろいろいる。人間模様もリア充から地味なオタク、熱血スポーツマンに、文化系クラブの人、雑多でさまざま。

ちょっと前に差別の本質は見た目が悪いやつに対する嫌悪、能力の低い人間に対する侮蔑であると書いたような書かないような気がするが、我々日本人は学校で差別というものをたくさんお勉強するはずなのだが、差別しない人間などまずいない。みな差別大好きナチ野郎だ。

特にオタク層に対する社会の攻撃はとどまることを知らず、老若男女、みんなオタクが嫌いである。なぜオタクが嫌われるのだろう?見た目が悪い、オドオドしてて暗い、わけわかんないものに夢中、萌えだのなんだのロリコンだから、不潔そうだから、ドー×ーだから、運動下手だから、ネットでのみいきがってるから…たっくさんあるけど、結局全部偏見なんだよな。

その人間のことをよく知ればだいたい敵意は氷解するものだと思うが、知る努力などするわけないじゃないか。大してキョーミもないのに。この映画ではオドオドしたオタクがこれでもかと叩かれる様子が描かれているが、テーマはそれだけではない。

一体なんなんだろうな。。
日本の学校に確かにあったアレは、、

がんばるのはだせえ。勉強するやつはガリ勉君だから粛清しよう。スポーツとギャグに長けてて女遊びに興じてるやつほど勝ち組。真面目に勉強ばかりしてるやつはかわいそうな学歴社会の犠牲者。死すべし。

クラブでも二種類あった。
文化系と運動部系だ。運動部系はかっこいいけど、文化系はダサい。暗い。女がやるもの。男がやってたらなんかイマイチ。そんな誰が作ったか知らないがそんな空気ないか?

彼女いるやつ勝ち組。
いないやつ負け組。
なんかあるだろこういうの。

問題はこれが学校だけならまだ良かったが、社会に出てからも似たようなヒエラルキーがあって、オタクはキモくて犯罪者予備軍。運動部系、遊び人系はスタイリッシュで女にモテる。こんなのはおそらく結婚するまでガンガン続く。こんなのもうやだぜ!ウザいぜ!と思う人ほど、早いとこ結婚した方がいい。結婚すれば甘酸っぱいあれこれはそりゃなくなるが、変な空気に煩わされることも少なくなる。それは悪いことではない。

俺も今思えば高校の人間関係には悩んだものだ。男が群れるんだこれが。女も群れるけど。グループがなんかあって、どっかに所属していないといけなかった。これ死ぬほど面倒なことなのだ。”女子”はこれみよがしに大声で悪口言っては大笑いする。この映画でも詳細は省くが「おまた〜」のあたりは涙なしにはみれない。いたな〜。あーいう風に言う奴も言われる奴も。

結局この映画なんなんだろうな、、と思っていたら割と最後の方で直接テーマをくっちゃべってくれる。「戦おう、我々はこの世界で生きていかねばならないのだから」と。これがこの映画の一番の主張だというのはすぐ知れる。なんだかわかんない映画で、読解力低い人には難解だとかわけわかんないだとかすぐ言われちゃいそうなのだが、それすらみこして最後にこんな説明台詞を用意してくれてるのだから製作者はかなり優しいだろうと思う。

イケメンで彼女いてスポーツも万能で勉強もできるという桐島くんとその親友のキクチ君たちのグループ。

かたや女っ気もなくてバカにされてるオタクの映画部。来る当てもないドラフトのために夏が終わっても練習し続ける野球部の先輩。どんなにがんばってもまともにチームの戦力になれない、でもすげー熱血なバレー部のちっちゃい男の子。

なんでもできて恋人もいて見た目も良くて悩みもなくて。しかも冷笑的で自分たちが周囲の中では”上の方”だと自覚していて、がんばってもがんばっても芽が出ない奴らをバカにするエリート集団たち。

確かに我々の学校にはこのような身分制度が存在している。でもこの映画はクソまみれでかっこ悪くてバカにされてて、それでも一生懸命なこいつらの方がはるかに幸福に見えるわけ。うちこめることがあって幸せだなって。

でも見た目の良い彼らがでかい顔をするクソつまらない学校の空気。それでも負けずにがんばるしかねえ。そして何年も経ってみればうちこめることがあったこいつらのが幸せだったと誰もが理解する。そんな子供達の救い難い青春を優れた演出で描いた映画である。これは良かったですよ。

↑↑
なにか一言メッセージでも残して行ってください